僕は喫煙と飲酒以外は体に気を遣っている。飲み事がない日は基本的に早寝早起きで睡眠はしっかり取り、朝は部屋の窓をしっかり開け空気の入れ替えを行う。冬場は部屋の温度を上げ過ぎず、加湿器を入れ湿度もしっかり調整している。また外出先から戻ると手洗いうがいは欠かさず、スマホは頻繁に除菌シートで拭いている。
当然、食事の面でも気を遣っており、緑黄色野菜をしっかりとり、黒米やもち麦などを混ぜたご飯を食べ、毎朝納豆と具沢山の味噌汁を頂く。またヨーグルトとビタミンCを欠かさずとり、疲れた時やお酒の量が多いときは田七人参や牛黄などのサプリで体を整えている。さらに最近では蜂の子のサプリまで服用している。
「えっ、なぜそこまで健康に気を遣うのかって?それは毎日おいしく晩酌したいからです!」
こんなに健康に気を遣い何年も風邪などひいたことが無かったのだが、先月、数年ぶりに風邪を引いてしまった。病院には行かず薬も飲まずに高タンパク質の食事をしっかりとり、体のツボを押し、鼻うがいを徹底して行ったことで風邪は治りかけていた。しかし風邪の治りかけに東京から取引先の方が来福し、彼は予想外にも連泊したので連日お酒に付き合うことになり風邪をぶり返してしまった。不覚じゃ。
久しぶりに風邪を引き体調を壊したが、若い頃に比べると回復するまで随分時間がかかる。
先日、86歳になる三浦雄一郎さんが南米大陸最高峰のアコンカグアの登頂に出発したが、悪天のためベースキャンプで足止めされ登山が長期化することになった。そのため三浦さんの体への負担が大きくなるので、付き添いの医者からドクターストップがかかり三浦さんは断腸の思いで下山することになった。
彼は史上最高齢の80歳でエベレスト登頂を果たしているが、更に90歳でもエベレスト登頂を目指していると言う。彼は高齢になっても登頂や冒険に自ら挑み続けていることで、多くの人に勇気を与えたいのだろう。彼の驚異的な肉体と精神力には頭が下がる。
僕が掲げる「毎日おいしく晩酌する」という目標は三浦さんの目標に比べると雲泥の差だが、僕は生きている限りおいしく晩酌がしたい。三浦さんがサントリーのセサミンのCMに出ていたことに影響され、毎朝、僕はゴマを味噌汁にたっぷり掛けて頂くようになった。三浦さんにはまだまだ負けられん。
「今夜もおいしく晩酌するぞ!」
written by キム・ジー
「偶然じゃない。私達は、皆、自分で選んでここに来たの。偶然じゃない。運命なんかでもない。君が今までしてきた選択と、私が今までしてきた選択が、私達を会わせたの。私達は、自分の意思で出会ったんだよ。」
「君の膵臓を食べたい」のフレーズだ。
17年前の2月26日に以前勤めていた会社が突然倒産した。あれから17年も過ぎ随分と時間が経っても当時のことは鮮明に記憶している。
当時、勤めていた会社が倒産したことで、勤めいていた社員やその家族は大きな衝撃を受けた。社員数が300名ほどの会社だったので、社員とその家族を合わせると1,000人以上の人間が衝撃を受け、そして取引先まで含めると2,000人以上の人が衝撃を受けたことになるだろう。
当然、勤めていた社員は翌月から給与が無くなるので緊急事態だ。社員の中には途方に暮れる者、慌てて再就職先を探す者、将来について腰を据えて考える者…。それぞれ生活環境も異なり、それぞれが自分の将来を考えただろう。そして皆、これからの進む道に不安を抱きながら、それぞれが偶然や運命ではなく自ら歩む道を選択し、そして自分の意思で選択した道を歩きだした。
その歩んだ道が間違っていたかもしれないが、歩んでみないとその道が間違えなのかは誰も分からない。しかも歩んだ道と歩まなかった道を正確に比較することもできない。歩んだ道が間違えだったからと、時間を巻き戻して別の道を歩むこともできない。
久しぶりに当時の仲間と当時の行きつけの店に出掛け一杯やるのもいいかもしれない。そして皆にこう質問をしてみたい。
「歩んだ道は間違ってなかったや?」
逆に僕が同じ質問をされるとどう答えるだろうか?
「そうやね~。間違っとったかどうかわからんばってん、あの状況でのベストの選択やった気がする。なんせ型にはまり、群れをなすことが嫌いやし自由になりたかったけん!」
これからも僕は自分の意思で歩む道を選択しなければならない。きっと自分が選択し歩む道に正解も間違えもないのだろう。
written by モンコ
常識は時代とともに変化し、いつのまにか非常識に変わっていく。
以前は飲食店で禁煙の店などはほとんど無く、どの店でも当たり前のように煙草は吸えた。またタクシーや電車はもちろん、飛行機にも灰皿が備え付けられており多くの人が煙草を吸っていた。今では逆にタバコを吸える場所を探さなければならないし、タバコを吸うことで肩身も狭い。
また以前は飲食店に入ると、とりあえずビールと決まって頼んでいたが、今ではノンアルコールビールやレモンサワーなどで乾杯する人も多く、率先して酒を飲む人はいなくなった。そして酒を強要することもなくなり町からは酔っ払いがいなくなった。昔を知らない今の若い人たちは今の時代が常識で、昔を知っている僕らは非常識になっていく。
先日、親しい取引先の方と馴染みの寿司屋のカウンターで一杯やりながら、僕がタバコに火をつけた。すると取引先の方は寿司屋のカウンターでタバコが吸えることに驚いていた。
「うちが禁煙にすると、店に来ないって言うんで、仕方ないんですよ」
店の主人は苦笑いしながらそう言うので、僕はこう言った。
「昔は良かったなぁ~」
「昔はよかったよな~」この言葉を口にする人はきっと時代の変化に上手く順応できずに、その変化に窮屈さを感じている人が使う言葉なのだろう。若い頃にこの言葉を耳にすると、「何を古臭いこと言ってんだ」と思っていたが、年を重ねると僕も同じ類の人間だった。
もうすぐ新元号に変わり、また時代が変化し新たな常識が生まれいく。
馴染みの寿司屋の主人は多くの客の声から店を完全に禁煙にするか迷っているそうで、禁煙になってしまうと、僕の出掛ける店がまたひとつなくなってしまう。癪なので、そのうち僕が煙草の吸える寿司屋を始めてみようかと考えてしまう。
「へい、いらっしゃい!」
「うわ、この寿司屋、煙草臭い!!この時代に禁煙じゃない店があるの?」
「うちは煙草を吸うお客さんのための寿司屋なんでね」
「全く常識のない店だ!さっさと出よう!」
「うちは非常識な寿司屋なんで」
非常識な人間がもっと多くてもいいように思う。
written by ジェイク