親父が信頼していた証券マンが挨拶もなく突然退職し、次の担当者が引継ぎのため親父に連絡をしてきた。親父は退職した証券マンを随分と信頼しており彼に色々相談しながら投資を行い、彼からの無理な相談にも付き合っていたようで、彼が挨拶もなく辞めたことにショックを受けた。そこでこの機会に株式投資を全て止めることにし、そのことを伝えるために証券会社に出掛けた。以前から高齢の親父に株の取引を勧めていた証券会社の担当者のことをお袋は良く思っておらず証券会社に文句のひとつでも言ってやろうと、お袋も同行した。
証券会社では親父とお袋は応接室に通され、次の担当者とその上長が同席した。親父は今後取引を止め所有している株の全て売却することを伝え、その後にお袋はこう切り出した。
「あなた方はこんな高齢で認知症の恐れのある人に株の売買を勧めるとは少しおかいしいんじゃないんですか?」
「えっ、認知症?そうなんですか?」
「認知症の恐れがあると医者に言われています。昨年、主人が入院した時も前任の方は病院まで電話してきて取引の話を持ち掛けるし非常識にもほどがあります!」
「入院?」
「主人は昨年転んで硬膜下出血で入院してたんです!」
「そ、そうなんですか?前任者が突然会社を辞めたので何も聞いておらず引継ぎができてなくて…。すいません。」
「前任の方は不正とか何か問題があったんではないですか?」
「それは全くないんですが。ところでご主人さまに認知症の恐れがあるのであれば、株の売買は一旦停止させていただきます。今はコンプライアンスなど会社が煩くて認知症の方に株の取引をすることは社会的にも大きな問題になっているんです。だから当社では高齢で認知症の方には取引を停止させていただいております。」
「停止?」
「何も聞かなければよかったのですが聞いてしまった以上、保有の株式を売却されるのであれば、親族の方に後見人になって頂き、その方と相談の上、法的に処理をしなければなりません」
「…」
親父とお袋は墓穴を掘ってしまった。
その日、お袋から連絡があり証券会社に僕が改めて会いに行く羽目に。
証券会社で親父が医者からは認知症の恐れがあると言われただけで、その診断は出ていないことを僕は担当者に説明した。その結果、親父と担当者が再度面談し、親父の会話や思考が正常なのか判断したうえで本社に判断を仰ぐことになった。
「だいたいそんな歳になって、株の売買なんかするけんやろ?」
僕が親父に言うと、親父はしょぼくれていた。
「あんたが頼りやけん!」
母がそう言うので僕が今後処理することになり、証券会社に連絡し親父の取引履歴を郵送してもらった。そして親父の取引履歴を見て驚いた。
「えっ、こんな金額を売買しよったったい(笑)塩漬けしてもいいやんか…」
アメリカの投資家バフェットじゃないんだから、75歳までに投資は終わらせるべきだろう。
written by 彦之丞
僕のゴールデンウィークは仕事の都合で、前半6連休と後半3連休の9日間の休みだった。ゴールデンウィーク前半は購入したテレビが納品され、テレビ台を組み立てテレビの設定を行った。その後は新しい時代を迎えるため、部屋の片付けと車を洗車し実家に戻った。実家では庭の草取りで汗を掻きギックリ腰寸前まで働いた。前半の6連休は仕事をしている方が楽に思えるほど慌しくのんびりとする時間はなかった。
後半の3連休は連休初日に納品されたテレビを弄ってみた。最近のテレビは随分と進化しており、リモコンに向かって話しかけるだけでチャンネルを変えることができ、しかもユーチューブやグーグルなどはテレビに内蔵されているので、テレビをWi-Fiに接続するだけでネット動画を直ぐに検索し視聴することもできる。
また4K対応のテレビなので画質は鮮やかだ。地上波では4K放送は行われていないが、ネットには4Kの動画はたくさんアップされており、さらにネットフリックスやユーネクストなど有料のネット動画配信サービスがあるので、好みの映画やドラマを簡単に綺麗な画質で楽しむことができる。以前はレンタルショップにわざわざ出掛け見たいDVDを借りていたが、今はテレビのリモコンひとつでそれが可能だ。僕は地上波の番組を見る気がしなくなった。
ところで広告業界ではテレビの視聴層をF1、M1(女性、男性20~34歳)、F2、M2(女性、男性35歳~49歳)、F3、M3(女性、男性50歳~64歳)でターゲットをセグメントしている。最近は高齢者が増えたこともありF4、M4(女性、男性65歳~79歳)までターゲットは広げられた。しかしネットに慣れ親しんでいる世代は能動的にネット動画を楽しんでおり、実際、テレビ番組を楽しんでいる方はネットにあまり触れたことのない60歳以上のF4、M4の方だろう。某調査会社が提供するテレビの視聴率は現実とはギャップがあり、その視聴率を鵜呑みにしている広告主は高額な広告費を支払い多くの高齢者に向けてCMを流していることになる。
僕の働く広告業界は未だに地上波のテレビ広告が主流で大きく依存している。しかし秋の増税前の駆け込みと、来年のオリンピック開催に向けて4Kテレビは一気に普及し、テレビでテレビ番組を楽しむよりテレビでネット動画を楽しむ世帯が一気に増えるだろう。その結果、広告業界やテレビ業界では大きなパラダイムシフトが起きることになる。
そんなことを考えながら長い休みはあっと言う間に終わっってしまった。
「今週末の休みはテレビでゆっくり映画を楽しもう!」
written by マックス
明日からいよいよゴールデンウィークで10連休と長い休みに入る。この歳になると大型連休だからとはしゃぐことはないが、多少なりとも嬉しくなる。僕は今年も博多どんたくに参加し、お得意先のどんたく隊をプロデュースするので5月3日は仕事で、ゴールデンウィークは前半6連休で後半3連休となる。
前半の6連休は実家の片づけを行う予定で、古くなった物や不用品を処分しようと考えている。昨年、叔母が亡くなり遺品の整理など大変だったので、親がまだ元気なうちに少しずつ実家の整理をしておこうと考えている。
昨年、少し実家を片付けようと試みたが、何とも変なものが押し入れや物置から出てくる。亀の剥製や錆ついた大きな茶釜、木製の天狗のお面など。どうして今まで処分しなかったのだろうと首をかしげてしまう。亀の剥製はどう処分するのだろうか?中古の買取業者は亀の剥製を引き取ってくれるのだろうか?確かワシントン条約で商取引は禁止されていたのでは?
「お袋!これは何ね?何でこんなものがあると?」
「それは随分前から家にあると。確か…そうそう、祖母ちゃんのお兄さんが祖母ちゃんにあげて、それで…。亀は縁起が良かろうが、だけん捨てろうに捨てられんかったとよ」
そこに親父がよろよろ出て来て
「ほーそれは貴重やなー。今の金額にすると数十万円はするばい。」
「…で、お袋これどげんすると?」
「あんた要らんね」
「俺は要らんばい」
「じゃ~とっとこう」
「…」
妙な物が出てくると、その度に片付けは中断し家族が集まり協議が始まるので片付けは一向に進まない。特に親父は物を捨てたがらない性分なので意気込んで片付けを始めても親父の許可を仰ぐと、殆どのものは処分することはできない。そして今日はこの辺にしておこうと言い出す始末。今年こそは気合を入れて片付けるぞ。
連休後半の3連休は愛犬とのんびりする予定だ。愛犬は高齢で目も耳も不自由で、後ろ脚は弱りその脚を擦りながら歩いている。しかし体が不自由になったからと愚痴ひとつ言わず、懸命に生きている姿が健気で愛おしい。暖かくなったので、のんびり風呂にでも入れてやろうと考えている。そんなこんなで僕の連休は終わってしまう。
しかしあの亀の剥製はどうしよう…眼鏡でも作るか。
(必要な人がいれば着払いでお譲りしますが)
written by ゴンザレス