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2019年07月05日

ブログに3週連続で愛犬Q太郎が登場する。
先週の水曜日の朝、高齢のQ太郎は突然心肺が停止し、家人が人工呼吸と心臓マッサージを施すと息を吹き返した。今は横になったまま流動食や好物のスイカを食べ生き長らえている。Q太郎は意識がしっかりしているようで、僕が指を顔に近づけると食べ物と思うのかパクリと噛みついてみせる。Q太郎が生きているだけで僕は安堵し頭を撫でながらこう話しかける。

「Qちゃん。永遠に一緒にいようね。安心して穏やかに余生を過ごしてね」

Q太郎との出会いは19年前の初冬、あるペットショップでミニチュアダックスの子犬を見かけ、あまりの可愛さに迷いもなく即購入し、家に連れて帰った。当時、僕の住んでいたマンションはペットを飼うことはできなかったので、同じマンションの住人にばれないようにこっそりと部屋に入った。
その晩、買ったばかりのゲージにQ太郎を入れ眠かせたが、夜中に何度も「ク~ン」と寂しそうに鳴くので、寒いのかもしれないと思い仕方なく同じベッドで眠った。そしてQ太郎はうちに来た日以来ずっと僕と同じベッドで眠るようになった。朝になるとQ太郎はお腹が空いたと僕の顔を手で引っ掻いて起こすようになった。冬にQ太郎と一緒に寝るとお互い暖かいので引っ付いて眠るが、夏は暑いのでお互いベッドの隅に離れて眠った。
家に来た当初、Q太郎に随分トイレの躾をしたが全く覚えてくれず、家のいたるところで粗相し僕に叱られていた。家人が半年ほど辛抱強く躾けると、ようやくトイレで用を足すことができるようになった。
Q太郎はとにかく元気で部屋中を走り回り良く吠えた。ペットを飼えないマンションだったので吠えると直ぐにQ太郎を抱き宥めた。そして外出する時は洋服の中にQ太郎を忍ばせエレベーターを利用せず非常階段から外に出た。
Q太郎の食事は健康を気にして栄養バランスの取れたドッグフードを与えおやつにはジャーキーを与えていたが、僕の勤めていた会社が倒産し生活水準が下がったことで、おやつはジャーキーからキャベツの芯に変わった(笑)。その頃からQ太郎は野菜や果物を食べるようになり、特に果物が好物になった。
僕が仕事に出掛ける時はQ太郎が玄関まで走って見送ってくれ、仕事を終え僕が帰宅するとQ太郎は玄関で待っており尻尾を思い切り振って迎えてくれた。どうもQ太郎は僕が家に帰ってくることが分かるようで、家人はQ太郎が玄関に行くことで僕が帰ってくることが分かったそうだ。そして食事の時は僕の隣の椅子に飛び乗り僕からのおこぼれを待った。
Q太郎は近くの草野球のグラウンドがお気に入りで定番の散歩コースだった。そこは他の犬があまり散歩をしておらず、グラウンドの周りに芝生が生えていたのでQ太郎の首輪を外しあげると喜んで自由に走り回っていた。またQ太郎は車に乗ることも大好きでドライブに連れて行くと、何が面白いのか、いつも窓から顔を出し顔いっぱいで強い風を受け鼻水を垂らしていた。そしてQ太郎と一緒に旅行にも出掛けペットの泊まれる温泉旅館に泊まりペット用の温泉にも入った。さらに沖縄に2度もバカンスに一緒に出掛けQ太郎は透き通った海を犬掻きで泳ぎリゾートを満喫した。

Q太郎はいつも一緒で僕のかけがえのない家族だ。Q太郎は今まで大きな病気や怪我をほとんどしたことがなく元気で長生きしてくれているが、すぐそこまでお別れの時は迫っている。一度Q太郎が心肺停止したことで、僕はQ太郎の死を受け入れる覚悟ができた。きっとQ太郎は最期に僕が悲しまないように死の予行演習を行い、今のおまけの時間を僕にプレゼントしてくれたのだろう。
Q太郎とお別れの時は笑顔で見送ってあげたい。

written by ゴンザレス


2019年06月28日

朝、出社すると携帯電話に家人から着信があったので折り返すと、愛犬のQ太郎の心肺が停止し無我夢中に心臓マッサージと人工呼吸をすると息を吹き返したそうで、今、動物病院に連れて来ていると言う。僕も事務所を出て慌ててタクシーに飛び乗り馴染みの動物病院に向かった。病院に着くとQ太郎は動物用のICUの中で静かに横になっている。動物用のICUは酸素が沢山注入された小さな透明の箱でペット専用の酸素室だ。一時間ぐらい待合室で待っていると先生から呼ばれた。

「Qちゃんは本当にタフな子でびっくりしています。さて、これからのことですが、Qちゃんをこのまま入院させてもいいんですが、高齢で老衰ですから自宅に連れて帰ってゆっくりさせてあげることを勧めます」

「先生の言う通りQ太郎は老衰でそろそろ寿命でしょうから、安心できる家に連れて帰り穏やかに看取ります。Q太郎は苦しまないですよね?」

「Qちゃんは苦しむことはまず無いでしょう。自宅で安心させてやって下さい」

「わかりました。ところで先生にこんな相談するのはどうかと思いますが、Q太郎が息を引き取った後、どこで火葬すればいいのでしょうか?先生のご存知のペットの葬儀場はありますか?」

「うちの犬が亡くなったときにお願いした優しい女性が運営しているペットの葬儀場があるので、そこを紹介しましょう」

そう言って、先生は奥の部屋からパンフレットを取ってきてくれた。この日の診療費を先生は受け取らなかった。先生に今までお世話になったお礼を伝えQ太郎を自宅に連れて帰った。その日の午後、僕は仕事を休んだ。

Q太郎は朝から何も口にしていなたったので餌を与えてはみたが、一向に食べない。口をこじ開けて餌を押し込んでも飲み込まない。Q太郎の命は持っても明日だろう。せめて最後に大好物の果物を食べさせてあげたいと思い、僕はスーパーに出掛け糖度の高いリンゴとスイカ、それに牛乳を買った。
Q太郎にリンゴを小さく刻んで与えてみると全く食べようとはしない。そこでスイカを小さく刻んで与えてみると、リンゴよりスイカが甘かったのかQ太郎はしっかり噛んで食べた。そして牛乳を与えゆっくりとQ太郎を寝かせた。その晩はQ太郎の横で眠ったが、気になってあまり眠れなかった。

翌朝、恐る恐るQ太郎の顔を覗くとちゃんと呼吸をしている。その日も僕は仕事を昼で切り上げ、ペットショップに高齢犬用の流動食を買いに出掛けた。ペットショップで2食分の流動食を購入し、家に戻りQ太郎にシリングで与えてみると、Q太郎は何とゴクゴク喉を鳴らして流動食を平らげた。その晩もQ太郎は流動食を平らげたので、ネットで流動食を追加注文した。

翌朝もQ太郎はしっかり流動食を食べ点滴を受けさせる動物病院に連れて行った。先生はとにかく驚いていた。

「もうQちゃんに会えんと思いよった。また会えるとは本当にびっくりしたよ!」

「先生、好物のスイカを食べ流動食も食べるんです。ほっとけなくて…」

「へー。飲み込む力があるんやね。びっくりやね。Qちゃんは本当に強いし頑張るね。よし頑張ろう!まだまだ長生きするかもしれん」

そう言いながら先生はQ太郎の頭を撫でた。

「先生、きっとQ太郎は一度死んだんですが、皆に恩返しするために戻ってきたと思ってます」

Q太郎は一度死んだが復活した。(お前はキリストか!)
三途の川を渡っている途中に誰かに追い返されたのか。それとも家人に連れ戻されたのか、死んだ犬が心臓マッサージと人工呼吸で息を吹き返すなんて…。いずれにしてもQ太郎と一緒に過ごせる時間はそう残っていないだろう。この時間はおまけなのかもしれない。

「頑張れ!Q太郎!」

written by ゴンザレス


2019年06月21日

僕の家にQ太郎という雌のミニチュアダックスフンドがいる。Q太郎は全身黒い毛に覆われており、まるでお化けのようなので「おばけのQ太郎」から名前を取って付けた。しかし雌犬なのでQ太郎と呼ばれることは無く、いつもQちゃんと呼ばれている。Q太郎は今年19歳で人間の年齢にすると90歳と随分長生きだ。

Qちゃんは今年に入り高齢のため思うように動くことができなくなり、1日の大半を寝ているが、真夜中に家の中を徘徊することがある。認知症かと思い馴染みの動物病院で診てもらったが、夜中に無駄吠えをしないのであれば心配ないと言われた。
そう言えばQちゃんは高齢になり吠えることがめっきり減った。先日、珍しく夜中に2回ほど小さく吠えたので駆け付けてみると、Qちゃんの姿が見当たらない。さらに探しているともう一度小さく吠えた。声はソファーの下から聞こえたのでソファーの下を覗くと、そこから出ることができなくなったようでQちゃんは足を広げて伸びていた。
小さい頃からQちゃんにしっかりトイレを躾けたので、ちゃんとトイレで用を足していたが、最近はそれが難しく粗相をしてしまうので、今はペット用のピンクの花柄の紙おむつをしている。(意外に良く似合っている)
Qちゃんは食いしん坊だったが餌を積極的に食べなくなった。今は流動食や水を注射器のようなシリンジという器具で与えているのが、量が進まないので徐々に痩せてきた。Qちゃんは毛が長いので外見から痩せたことは気付かないが、抱っこをすると体重は随分軽くなったと感じる。そのため定期的に動物病院に連れて行き点滴をしてもらう。

「Qちゃんはうちに来るミニチュアダックスの中で最高齢だ。これまでの長生きの記録を塗り替えたよ。この年まで生きれば丸儲けだ。これからは老衰で弱わっていくので、今のうちに沢山大好きな食べ物を与えてやって下さい」

先生からそう言われたので、健康のことよりQちゃんの好物を優先して与えている。Qちゃんは果物や甘いものが大好きで、寝ているQちゃんの鼻にシュークリームなど好物を近づけると、鼻をクンクンと動かし、ハッと目を覚まし、パクリと食べる。昨晩はケーキを食べ過ぎたためか、夜中に呼吸が酷く荒くなり、舌を出して苦しそうだったので死んでしまうかと思ったが、今朝は落ち着いて眠っていた。ケーキなどの甘い物はほどほどにしよう。

Qちゃんの頑張っている姿を見ると僕は勇気付けられる。毎朝眠っているQちゃんの頭を撫で、僕はこう話しかけて仕事に出掛ける。

「Qちゃん、ずっと一緒にいようね。長生きしてギネスブックに載るよ!」

Qちゃんは返事をするかのように、かすかに尻尾を振ってくれる。

「頑張れ!Q太郎!」

written by ゴンザレス


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