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2019年12月13日

愛犬Q次郎は先週末、初めて散歩に出掛け地面に立った。Q次郎にとっては人類が初めて月面着陸し月に立った時のようなインパクトで、目の前に広がる世界に驚いただろう。

Q次郎をそっと地面に下ろすと、緊張した面持ちで直ぐに伏せた。リードを軽く引っ張っても立ち上がらず、リードを強く引くとQ次郎は伏せた状態で引きずられる。

「Q!怖くないけん、さぁ、行くよ!」

僕がしゃがんでQ次郎に声を掛け手招きすると、Q次郎は匍匐前進で50センチほど進む。何度もこの動作を繰り返すし、やっとQ次郎は地面に立った。
そこに自転車がベルを鳴らしながら走って行ったので、Q次郎は驚いてまた伏せてしまった。Q次郎は初めて見たる自転車をどう思ったのだろう。

「な、な、なんだーあれは…」

次に人が歩いて近づいて来たのでQ次郎は座ってその人に思いきり尻尾を振った。しかしその人はQ次郎を無視して通り過ぎて行った。
Q次郎は僕の友人など数人に会っており、皆、Q次郎に声を掛け頭を撫でてくれるのだが、今通り過ぎた人はQ次郎を無視して通り過ぎて行ったので拍子抜けしている。

「あの人、無視しとる…。何で優しく声をかけて頭を撫でてくれんとかいな?」

そうしていると、後ろからスーツケースをゴロゴロと引いてくるカップルが近づいて来る。Q次郎はその音が気になるようで、歩きながら何度も振り返り立ち止る。
徐々にスーツケースを引いたカップルが迫って来て、スーツケースの車輪の音は大きくなり僕等を追い抜いて行く。
Q次郎はまたその場に伏せてしまった。Q次郎はスーツケースが何か動物に見え、主人と散歩しているように思ったのだろうか(笑)
しばらくすると、遠くからハーレーだろうか、大きなバイクの音が近づいて来る。Q次郎は僕の足元に擦り寄ってきて僕の足に飛び付き抱っこをせがむ。
Q次郎を抱っこするとバイクが轟音を響かせ横を通り過ぎて行った。
Q次郎は僕にしがみ付き、顔が引きつっていた。

「…」

その日はQ次郎が散歩に馴れることが目的だったので30分ほどで自宅に戻った。部屋に戻るとQ次郎は安心して部屋中を足り回っていた。

「お前は内弁慶やなぁ~」
(ちなみに内弁慶のQ次郎は、先日、「メトロ・ゴールドウィン・メイヤー」が配給する映画のオープニングで、ライオンが出て吠える声に飛び上がって驚いていた)

Q次郎の冒険は始まったばかりでまだ他の動物や昆虫などに出会っておらず、海も川も見たことがない。
これから初めてのものを見た時のQ次郎のリアクションが楽しみだ。

written by ゴンザレス


2019年12月06日

冬の風物詩である福岡国際マラソンが行われ、福岡の最低気温は連日10度を下回り冬の訪れを肌で感じるようになった。

先週末、肺炎で入院している親父を親父の兄弟(僕の叔父叔母)が見舞いに来てくれたので、昼食を一緒に取ることに。叔父と叔母と会うのは久しぶりだったので、随分と賑やかな昼食になった。その席で叔父と叔母がNHKの番組「ファミリーヒストリー」のように曽祖父の頃からのうちの歴史を話してくれた。

僕の祖先は元々関東出身で曽祖父は神奈川で暮らしており、中山道の宿場町で宿場を営んでいたが、実際はやくざで博打の元締めだったらしく国定忠治とも縁があったと言う。(ホンマかいな?)
その後、曽祖父は博打で大きな借金をつくり命を狙われたが、曾祖母が啖呵を切って丸く収めたそうだ。(まるで極道の妻やんか)
そして曽祖父はやくざから足を洗い朝鮮に渡り果樹園を経営し、成功して大きな財産を築いたが、日本が敗戦したことでその全ての財産は朝鮮人に没収されたそうだ。もし日本が敗戦していなければ、うちは今でも大金持ちだったと叔父は笑っていた。そして曽祖父が亡くなり、曽祖父の遺体を見ると17か所も刺された傷があったと言う。(まるで串刺しやんか。それだけ刺されると怖いもんないやろうなぁ)

曽祖父がやくざだったので家にはいつも柄の悪い連中が出入りしており、祖父はやくざになりたくないと15歳で家を飛び出し、国鉄に入社し祖母と出会い結婚した。その後、祖父は転勤で朝鮮に渡りそこで終戦を迎えた。しかし終戦間際にロシア軍が朝鮮に侵攻してきたそうで、捕まるとロシアに抑留されると聞き、家族全員、命からがら38度線を越え、引き揚げ船に乗り込み九州の門司に辿り着いた。そして祖父母は朝鮮から引き上げ時に身寄りのない子を引き取り、その子と実の子4人、それに祖父母を合わせ7人家族で中津に移り祖父は国鉄職員に復帰し定年まで務めた。

僕の親父は子供の頃から文武両道で、中津の町から初めて東大に進学できる子供がいると評判になったそうだが、逆に叔父は曽祖父の血を引いたのか、随分グレていたそうでギャンブル三昧の毎日だったそうだ。昔の名残か、80歳になる叔父は今も毎日のように夫婦でパチンコに出掛けているそうだ(ギャンブル依存症は抜けれんな~笑)
戦争後で5人も子供がおり生活は楽ではなかったそうで、親父は兄弟のために大学進学を諦め、高校卒業後は新聞社に就職した。当時、日活で俳優の募集があったそうで、叔父がこっそり親父の写真を日活に送ると、何と親父は俳優に合格したそうだ。後にそのことを知った親父は勝手なことをした叔父に随分怒ったそうだ。
新聞社に就職した親父は激務とストレスからか胃潰瘍になり入院することに。そこで看護婦で働いていたお袋と出会い結婚し、目出度く僕が生まれた。(おぎゃー!!)
叔父と叔母の話す「ファミリーヒストリー」は江戸時代から続くもので、歴史が大きく動いていた激動の時代を皆、逞しく生きたようだ。

今年も残り僅かだが親父は新年を迎えようと病と闘っている。親父の人生が来年に繋がり、親父の歴史の幕が下りないことを祈っている。

written by 彦之丞


2019年11月29日

以前はお中元やお歳暮を贈ると丁寧なお礼状を頂いたが、今ではメールなどSNSを介してお礼を伝えてくる方が多い。SNSでお礼を伝えるだけまだましで、中には何の連絡もしてこない人もいる。しかも祝い事や弔い事がありお祝いや香典を包んでも、お返しは無くお礼すら言ってこない人がいるので首をかしげてしまう。そしてそのような人に限って義理や礼節を口にするので、その言行相反の振舞いに僕は驚いてしまう。一体いつからこのように人間関係が希薄になったのだろうか?
僕はネットが普及したことによる影響が大きいのではないかと考えている。ネットは手軽で早く今や社会のインフラとなり社会を便利にする一方で人と人との繋がりを希薄にさせている。またSNSを手軽に利用しお礼状などを書かなくなったことで、文章力は落ち漢字まで忘れてしまう。ネットが人間関係を集団から個に変化させ、さらに脳まで退化させ人はどんどんアホになっていく。

ところで家に来て2カ月になる生後4カ月のミニチュアダックスのQ次郎は、最後のワクチン接種は終わったが、ワクチンの効果が出るまで散歩に出掛けられず、未だQ次郎は外の広い世界を知らず自宅の居間で暮らしている。
悪ガキのQ次郎は居間の家具に悪戯をするので、テーブルや椅子の足にはかじった跡が残っている。先日も部屋の壁紙を剥いだ跡が残っていたので、僕は頭を抱えてしまった。またQ次郎は、未だトイレの場所を正確に覚えずトイレの成功率は約25%とまだまだ低い。しかも家の動線で用を足していることもあり、知らずにおしっこを踏んで靴下やスリッパを汚してしまう。

「オーノー!このアホ犬はまたこげなところで小便ばしとる。靴下が小便でびしょ濡れやんかー。ここはトイレやない!何回言えばわかるとやー!」
(本当にトイレの場所を覚える気があるんやろうか…)

僕はQ次郎のおしっこの後を片付けながらハッとした。
人はネットやSNSばかり利用すると集団よりも個として小さな世界で暮らし。脳はどんどん退化しアホになり、まるでQ次郎のようになってしまうのかもしれない…。

来週末にQ次郎は初めて散歩に出掛ける。散歩に慣れるまでは新しい世界に戸惑うだろう。新たな世界には今まで見たことのない犬や猫、そして他の生き物も多くいる。そしてQ次郎は新たな世界を見て触れることで沢山のことを発見し、世界の広さを知る。

「さぁ、Q次郎!一緒に冒険に出るぞ!」

written by ゴンザレス


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