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2024年07月12日

先週、いつも通り筋トレを終えタオルで汗を拭っていると、携帯電話に未登録の番号から着信があった。電話はマンションの管理会社からで、マンションの駐車場で隣の車の所有者が僕の車にドアをぶつけ傷が入り、僕と連絡を取りたいと問い合わせがあったという。僕はかなり凹んでいるのだろうと想像し、自宅に戻ると駐車場へ向かった。駐車場には日頃から交流のある家族の奥さんが青い顔で立っており、僕を見るとペコリと頭を下げた。

「すみません。車から降りようとドアを開けると、突然、強い風に煽られ車のドアが当たり傷を付けてしまいました」

車の助手性のドアを見ると、隣の車の塗料が付着し少し傷が付いているようだ。その箇所をシートで拭くと、付着していた塗料と傷は取れたが何となく凹んでいる。

「いつもお車を大切にされていますし、修理代をお支払いしますので修理してください」

「この傷で修理に出しても、費用は結構掛かりますよ」

「いえいえ、費用は良いので修理に出して下さい」

「う~ん、正直に連絡してもらいましたしね…。走っていて石を跳ねて傷が入ったということにして、修理は結構です」

「それではこちらの気がおさまりません。修理費用はお支払いしますから」

「明日、洗車をして傷の具合を見てみます」

翌日、洗車すると助手席のドアが微妙に1cmほど凹んでいるが、目を凝らして見ないとわからない。

「大きく凹んでいたら修理に出すけど、この程度で修理に出すのもなぁ…」

その日から不思議と隣に駐車している家族とよく顔を合わせ、その度に恐縮して頭を下げてくる。そしてご主人が菓子折りを持って尋ねて来た。

「この度は本当に申し訳ございませんでした。本来なら女房も一緒に来るべきですが、風邪で寝込んでいて…」

「寝込んでしまったんですか?もう気にされないよう奥様にお伝え下さい」

後で考えたが、もし逆の立場でこちらの不注意で隣の車を傷つけ所有者が寛容に対応してくれたら、その所有者にいつまでも頭が上がらず、顔を合わせることも気が引けるだろう。そう考えると、対等な関係でいるために修理してもらった方が良かったのかもしれない。 「しかし微妙だなぁ…」


2024年07月05日

梅雨は末期のようで大雨が続く中、時折雨が止むと、そのスキマに数匹の蝉が鳴いている。雄の蝉は自分の場所を雌に示しラブコールを送るために鳴く。地中の中で長い時間暮らし、成虫になり地上に出てくると雄は命を繋ぐため必死に鳴いて雌を誘う。めでたくカップルになり繁殖活動が終わると雄は命尽きてしまう。そのため梅雨が明ける前から雨の止んだスキマを利用して、気の早い雄は鳴いているのだろう。

ところで最近、テレビCMで見掛けるスキマバイトが人気のようで、多くの人がスキマ時間を利用し、スキマバイトのアプリ登録者は約2,200万人にものぼるそうだ。アプリには飲食店や小売店、物流業界など様々な業種が募集しており、中には1時間程度のバイトもあり空いた時間で働きやすいと人気になっている。応募者は履歴書や面接は不要で顔写真や身分証明書をスマホで撮影しアプリに登録するだけなので、手軽さもあり幅広い年代に人気だ。しかもアルバイトによっては、終了後直ぐにバイト代をもらえるケースもあるそうだ。スキマバイトが人気になった背景にはバイト後に給料が即支払われ、新型コロナウィルスの影響で収支が悪化した人にとっては魅力的で、人手不足の企業と働き手双方のニーズがマッチした形だ。

しかし中には問題点もあるようだ。まず都市と地方の間に求人数の格差があり、都市に比べて地方の求人は少ないという。また人気の仕事はすぐに応募枠が埋まり、募集後1分ほどで受付けが終了することもあり、希望する仕事につけないことも。そして応募した仕事で仕事内容や職場環境に満足できず、応募内容と極端に異なる仕事をさせられ休憩時間すらないことも。さらにアプリの応募者にはペナルティ制度が設けられ、勤務態度やバイト日のキャンセルや遅刻にペナルティが発生し、そのペナルティが貯まると応募できる数が制限され申込みができなくなる。そのため採用企業と応募者は同等ではなく採用企業の方が立場は上だ。

そもそもスキマバイトに違法性はないのだろうか。以前、派遣切りや雇い止めが社会問題になり、労働者保護のため労働者派遣法改正で30日以内の短期間の「日雇い派遣」は一部例外を除いて原則禁止されている。企業は社会保険の手続きが不要な範囲で、企業の都合で必要な時間だけ働かせることができ、今の時代の流れに逆行しているように思える。

スキマ時間があるのであれば目先のことに囚われず、将来の自分のために大切な時間を費やすべきではないだろうか?雨の切れ間に命を繋ぐため必死に鳴く蝉とは随分違うように思う。


2024年06月28日

梅雨入りした福岡では連日ぐずついた天気が続き、湿度と気温の高い日は不快で憂鬱だ。早く梅雨が明け、急いで夏が過ぎ気候の良い秋になって欲しい。もう少し気温が高ければエアコンを使用するのだが、今のところエアコンを使用していないので、愛犬Q次郎も冷たい床を移動しながら横になっている。

ところで「定額減税」が始まり、会社員など給与所得者は今月支払われる給与やボーナスの所得税と市県民税が控除される。「定額減税」は年収が2,000万円以下の会社員、個人事業主、年金受給者などが対象で、扶養家族を含めて1人当たり所得税が30,000円、住民税が10,000円の合計40,000円が控除される。例えば夫婦と子ども2人の4人家族の場合では、共働きかいわゆる「片働き」に関わらず、世帯全体で所得税が30,000円×4人、住民税が10,000円×4人、合わせて160,000円が控除される。6月の所得で控除できない場合は合計の減税額に達するまで月をまたいで控除される。

政府は物価上昇が続く中、春闘による賃上げが給与に反映されるこの時期に減税することで、手取りの増加を実感してもらうことが狙いだが、制度が複雑で効果を感じづらいという指摘もあり、政府の狙い通りデフレからの完全脱却に繋げるかが焦点だ。

「定額減税」は、岸田首相が「税収の増加を国民に還元する」として打ち出した肝いりの政策で、手取り額の増加を実感してもらい消費を活性化させたい考えだ。しかし食品全般の値上りや光熱費やガソリンなど物価が上昇する中、果たして「定額減税」により手取りの増加を実感し、デフレからの脱却に繋がるのだろうか。きっと多くの国民は減税により増えた手取りを預金するのではないだろうか。

「定額減税」のような小さな減税を実施するのであれば、イギリスのように食料品などの消費税率を0に引き下げれば効果は直ぐに実感できるはずだ。物価高に苦しむ国民や中小企業は「定額減税」で救われないだろう。しかも今後、健康保険料や社会保険料などの引き上げや、ミサイルや戦闘機など兵器を購入するための「防衛増税」などの税負担が国民に伸し掛かる。

うちでは「定額減税」で愛犬のためにジャーキーを作れるコンベクションオーブントースターを購入したが、「定額減税」で喜んでいるのは愛犬だけだ。日本は税金が高く、何かと住みにくい国になっている。


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