僕は若い頃に中古のBMWをローンで購入したが、初回のローンの支払よりも先に事故でそのBMWを廃車にしてしまった。車は無くなったがローンはまる3年残り、ローンの支払日はやり場のない悔しさと切なさを3年間感じた。その苦い経験から僕は全ての物をローンで購入しないと誓い、それ以降、僕はローンも借金もしたことは無い。
僕が会社勤めをしている頃、ある先輩は月の小遣が足りないようで軽い気持ちでキャッシングを始めた。当初は1万円程借りていたが、いつの間にか、借金を返すために他のカードでキャッシングを繰り返すようになり、遂に借金は300万円ほどに膨れ上がった。結局、彼は返済の目途が立たず、親に借金を肩代わりしてもらったそうだ。良い大人が何とも情けない。
ところで都道府県別の一世帯当たりの負債比率(貯金に対する借金の比率)は全国平均が28.2%に対し、沖縄県は57.2%と非常に高い。沖縄県金融広報委員会(事務局は日銀)が2019年に全国で実施した調査によると、沖縄県は「お金を借りすぎている人の割合」が全国1位、「消費者ローンを利用している人の割合」が全国3位、金融トラブル経験者の割合」が全国3位と、多くの沖縄県民はお金で悩んでいるようだ。銀行や消費者金融などから借金するならまだしも、ヤミ金からお金を借りる人も沖縄は多いようだ。
沖縄のヤミ金は他の都道府県とシステムが違うようで、仮に10万円を借りると、借りた10万円の返済は毎週1万円を10週返済することになる。しかし融資時には利息3万円(融資額の30%)と初回(1週間分)の返済も差引かれ、実際に手にする現金は6万円になるそうだ。お金に困り駆け込んだにも関わらず、このヤミ金のシステムでは完済することは難しい。そしてその日から毎週1万円を10週間返済し続ければ完済となるが、ヤミ金業者は裏で皆繋がっており、支払いが滞ると他のヤミ金が近づいて来て返済のためにお金を貸してくれると言う。
その後、ヤミ金からの借金は雪だるまのように増え、遂に返済が困難になると司法書士や弁護士などに相談し、法的な整理を行いヤミ金からの取り立ては収まるが、それは一時的なもので、時間が経つと取り立ては再開されるそうだ。次にヤミ金は本人以外の職場や友人などに連絡をしてくるようになり、借りた本人は周囲の目を気にして周囲に迷惑を掛けたくないと、結局、返済を続けるそうだ。一度、闇の世界と繋がってしまうと、壊れた歯車は元には戻ることはなく、一生その呪縛から逃れることはできない。
そのためにも軽い気持ちで借金やローンを組むのではなく、しっかり人生設計を行い人生の歯車が嚙みあわなくなる前にお金をコントロールしなければならない。僕のように買ったばかりの車を失い借金が残ったことで、お金の大切さを学ぶのもどうかと思うが…。
9月に入り、一日中聞こえていた蝉の大合唱はいつの間にか消え、遅れを取った数匹の蝉が鳴いている。あと数日もすれば蝉の鳴き声は止まり秋を肌で感じることができるだろう。しかし季節が変わっても昨年から続く新型コロナウィルスの感染は収まるどころか、今も感染者は増え猛威を振るっている。ワクチン接種は加速しているが、世界中で集団免疫ができ完全に収束するのはいつになるのだろうか。
福岡は4度目の緊急事態宣言が発令され、そのたびに大学ではオンライン授業へと切り替わり、自宅などでパソコンに向き合いながらオンラインで授業を受けていると言う。何とも不自由で刺激のない大学生活なのだろうか。
僕が大学生の頃はアルバイトで貯めたお金で初めて車を買い、友人とよくドライブや旅行に出掛けた。大学3年生の頃はアメリカに約1カ月ホームステイをし、大学3年の秋から友人と中古車販売を始め、卒業後はその友人と会社を立上げることを夢見ていた。大学生活は高校までの生活とは全く異なり、僕を大人と見てくれた親は放任主義になり僕は自由で刺激が溢れる毎日を過ごした。大学時代に経験したことは一生の思い出になり、この頃の経験はそれ以降の人生に大きく影響した。
甥っ子は新型コロナウィルスが発生した年に大学に入学した。新型コロナウィルスの影響で入学式も無く殆どの授業はオンラインで行われ、今後も新型コロナウィルスの影響が長引けば、若くエネルギーに満ち溢れた大学時代の思い出は無いまま、大学生活が終わってしまい空白の4年間が残ることに。このまま社会人になると思うと何とも不憫だ。
もし今後も新型コロナウィルスの影響が長引き自分が思い描いていた学生生活を送れないのであれば、大学を休校することも良いのではないだろうか。そして新型コロナウィルスが収束した頃に大学に戻り、自分の思い描いた大学生活を送れば良いと思う。それとも大学を卒業した後直ぐに就職するのではなく、世界中を旅して周っても良いのではないだろうか。学生時代に経験できなかった自由で刺激溢れる毎日を求め、世界に飛び出し冒険しても良いと思う。
若い時期に失った時間は若いうちに取り戻すべきだと僕は思う。若い時期にしかできないことを後々に取っておいても、若い頃の感性や体力は年齢とともに衰え、年齢を重ねて経験しても若い頃に感じる感動とは大きく異なる。
「一生青春」などと口にする勘違いしたおっさんがいるが、自由で活気があり刺激溢れる若い頃が「青春」で、その貴重な時間は短く決して戻ってこない。
先週末に2回目の新型コロナのワクチン接種を無事に終えた。1回目、2回目とも接種した左腕に腫れと痛みがあったが、幸いにも大きな副反応はなかった。ワクチン接種をした近所のクリニックではワクチン接種の予約をせずに来院する人も多くいた。
「ワクチンを打ってもらいに来たんですが」
「予約はされていますか?」
「予約はしていませんが、接種券を持っています」
「予約無しでワクチン接種はできないんですよ。どこのクリニックも予約受付はもう終了しているようですので、集団接種会場でワクチンの接種をして下さい」
「予約が必要なんですか…」
最近では予約することが当り前になってきた。以前より確実性が必要な交通機関や宿は予約することが当然で、また作業時間の掛かる美容室も客の待ち時間を少なくするために予約を受け付けていた。その後、歯医者も予約することが当り前になり、今ではネットの普及で予約を受付ける業種は増え、さらに新型コロナウィルスの影響で混雑を避けるために多くの業種でも予約が必要になっている。
僕が予約をして利用するサービスは宿や交通機関はもちろん、歯医者や旨い飲食店、それにガソリンスタンドでの洗車、愛犬のトリミングなど多岐にわたる。先日、喉の調子が悪かったので、近所の耳鼻咽喉科をネットで探すと、その耳鼻咽喉科も予約が必要で、しかも問診票は自分で印刷し記入して来て下さいと書いてあったので驚いた。
予約は確実性と客の待ち時間を減らすためのサービスだったが、最近ではマネージメントの要素が含まれるようになった。例えば飲食店で予約の少ない日は仕入れを減らすことで在庫の調整ができ、アルバイトの余剰スタッフを休ませることで無駄な人件費を抑えることもできる。また予約が少ない日は特価や特典を打ち出すことで集客に繋げているようだ。
さらにこれからは多くの業種で航空会社が行っている「ダイナミック・プライシング」が採用されることになるかもしれない。「ダイナミック・プライシング」とは商品やサービスの価格を需要と供給に合わせ変動させることで、需要の調整を図り利益を最大化することだ。航空会社は夏休みや正月休みなどの繁忙期は価格を上げ、閑散期は早割などを謳い集客を図っている。
そう言えば中洲にあるキャバクラも早い時間帯は格安の価格を設定し、夜遅くなるにつれ価格は上がっていく。これも「ダイナミック・プライシング」なのだろう。
いずれにしてもこれからの時代は何をするにしても予約することが当り前になり、その日の気分で気楽に出掛けることはできなくなるかもしれない。