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2021年11月12日

とにかくお袋は寒がりで10月中旬から使い捨てカイロを身に付け、自宅でもダウンジャケットを着ている。そこでお袋に冬山登山用の服が温かいと薦め、僕のお気に入りのアウトドアショップに出掛けた。
そのアウトドアショップは用途に合わせて多種多様の衣料品やグッズを販売し、冬山登山用の衣類はもちろんグッズも販売している。冬山登山用の衣類は軽量で防寒防水に優れ暖かく、通気性も良いので汗などの蒸れを逃がし機能的な衣類だ。お袋はアウトドアショップに入ることは初めてで、販売されている商品はごつい物ばかりだと思っており慣れない様子で店には入ったが、意外にもファッショナブルな服が多く並んでいたのでお袋は興味を示した。
お袋はズボンやカーディガンそれにフリースジャケットなど気に入ったものを試着室に持ち込み、3時間ほど色やサイズを合わせ僕と店員を巻き込んでファッションショーを繰り広げた。一通り必要な衣類などを購入し、店を出る直前にさらに気に入ったシャツを見つけ再び試着をしたが、自分に合ったサイズがないので店員に探してもらった。店員はシャツが陳列された棚を確認しバックヤードも探してくれたが、お袋の求めるサイズはなくがっかりしていた。すると店員はショーウィンドウのマネキンが着ているシャツまでサイズを確認に行ってくれた。
「お客様がお探しのサイズがありました。マネキンが着ていましたので、直ぐに脱がしてご用意いたします」
お袋はその店員の接客に喜んでいた。

今の時代ポイントカードは多くの店舗で発行され、最近ではスマホなどで会員登録し商品を購入するたびにポイントが貯まる。ポイントカードの目的は顧客の囲い込みだが、ポイントカードが溢れる中、顧客の囲い込みは本当にできるのだろうか? ポイントカードで顧客を囲い込む前に、気持ちの良い接客の方が客には響くように思う。そして笑顔や自然な会話で顧客を囲い込んだほうが、顧客とは長い付き合いができるのではないだろうか。

自宅に戻るとお袋のファッションショーがまた始まり夜遅くまで付き合わされた。翌朝は今年一番の寒い朝だった。昨日、購入した服をお袋は早速着ていたので感想を聞くと、使い捨てカイロを付けなくても暖かいと喜んでいた。
「またあの店に買物に行かんといけんね。あの店員さんは感じよかったもんね~」
「お袋、冬山登山でも始めてみたら?」
「…」


2021年11月05日

秋の夜長、毎晩、食後に自宅のベランダでランタンに火を灯し、ゆっくりとひとり2次会をしている。最近では趣向を凝らしジンにライムやレモンなどのシロップを加えソーダで割り、ジンライムやジンリッキーなど簡単なカクテルを作って飲んでいる。もう少し秋が深まるとベランダにはお気に入りのストーブが登場する。

ところで、スポーツクラブに通い始めて7ヶ月になる。モチベーションを保つことができずスポーツクラブに通うことに嫌気がさしたこともあったが、今では自分のルーティンワークと思えるようになった。
スポーツクラブでは2ヶ月に一度、「InBody」という体成分測定機で体重はもちろん筋肉量や体脂肪などを測定し、その結果を元にパーソナルトレーナーと今後のトレーニング方針を決めている。今週、「InBody」で体成分測定を行いパーソナルトレーナーとその結果を見ると、想像とは裏腹に体重と体脂肪は増え筋肉量は低下していた。その結果を見てパーソナルトレーナーは僕に尋ねた。
「ん~、体脂肪が増えていますね~、何か生活が変わりました?」
「生活は以前と変わってないし、さぼることなく粛々とトレーニングメニューをこなしているんですが…」
「そうですか。そうであれば体脂肪は減るんですけどね~。他に何か変わったことはありませんか?」
「あっ、関係があるかわかりませんが、1カ月ほど前から晩酌後にひとり2次会と称してジンを使ったカクテルを毎晩3杯ほど飲んでいます」
「ははは。ひとり2次会でカクテルですか?きっとそれでしょうね~」
「えっ、カクテルですか?」
「カクテルはカロリーが高いんですよ。有酸素運動をやると体内では糖分などのカロリーから消費されるので、今のトレーニングメニューだと体脂肪の消費まで辿り着いてないんでしょう。体脂肪を減らすためにはもっと筋トレの量を増やさないといけないですね~」
「はぁ~。もっとハードになるんですか…」
「そうですね~。有酸素運動はひとまず止めて、ウェイトを上げて筋トレのメニューを増やしましょう。これからはカクテルを飲まずに糖分が無くカロリーの低いウィスキーなどの蒸留酒にして下さい。」
「…」
こうして僕のトレーニングメニューは大幅に変更され、今までよりハードなメニューが組まれた。
そして僕の秋の夜長のひとり2次会は無くなった。


2021年10月29日

季節が進み銀杏の葉が色付き始め秋が深まっている。最近は少し肌寒くなってきたので、夜、愛犬Q次郎は僕の布団に入ってきて僕の腕に顎をのせ、まるで腕枕をされているように眠っている。何とも可愛いのだが、Q次郎の鼾で目を覚ますこともしばしば。

ミニチュアダックスのQ次郎は先代のQ太郎に比べて随分個性的だ。先代のQ太郎は落ち着きがあり聞き分けが良かったが、Q次郎はやんちゃでおとぼけ犬だ。
先代のQ太郎はうちに来て半年ほどで自分のトイレの場所を覚えたが、Q次郎はうちに来て2年になるが、最近ようやく自分のトイレの場所を覚えた。トイレを覚えるまでは見境も無く家中の至るところで粗相をしてしまうので、後片付けが大変だった。特にベッドや布団で粗相をされると、汚れた布団を洗いマットレスを乾かすことになるので一苦労だ。
そしてQ次郎は僕がソファでテレビを見ている時やデスクで仕事をしていると、ひょいと僕の膝の上に飛び乗り短い脚で立ち、顔を執拗に舐める「必殺べロベロ攻撃」をしてくる。「必殺ベロベロ攻撃」は鼻の穴や耳の穴まで舐め廻すので、顔中が涎まみれになってしまう。

秋になり海は人が減りQ次郎をよく海に散歩に連れて行く。Q次郎のお気に入りは福岡の観光地でもある百道浜だ。駐車場に車を停め車のトランクからQ次郎のお気に入りのボールを取り出すと、Q次郎は大喜びでボールをしっかり咥え砂浜まで持って行く。
砂浜に人がいないとリードを外してボールを思い切り投げてあげると、Q次郎は短い脚をクルクルと廻すように駆け出し、砂埃を立ててボールを追いかける。そしてボールを咥え僕の元に戻って来る。その姿はまるで掃除用のモップが猛スピードで砂浜を走っているように見える。Q次郎は疲れるまでボール投げをせがみ、30回ほどボールを遠くに投げてあげるとQ次郎は疲れて伸びてしまう。帰りも車までQ次郎は大切にボールを咥えて戻る。

以前は毎日仕事に出掛け取引先との会食も多かったので、先代の愛犬Q太郎は休日にしか散歩に連れて行くことができなかった。今は自宅で気ままに在宅勤務をしており時間に融通が利くので、せめてもの罪滅ぼしにと、Q次郎を毎日散歩に連れて行っている。

「Q次郎!さぁ、海に散歩に行こうか!」


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