今週、プーチン大統領はウクライナへの攻撃を選択し、軍をウクライナへ侵攻させた。この選択は将来どんな結果を招くのだろう。多くの人はプーチン大統領のように世界規模での大きな選択をするわけではないが、毎日、選択の連続の中で生きている。
2月26日は以前、僕が勤めていた会社が倒産した日だ。その日の朝、僕はいつものように支社に出勤し席に着くと、上司から本社からの指示で全員午前中は外出せずに事務所で待機するように言われた。
「何かあったんですか?お得意とアポが入ってるんですよ!」
「本社から指示だ。何か重大な発表があるようだ」
「何の発表ですか?」
「…」
上司はそれ以上何も語らなかった。僕は仕方なくお得意に連絡し、その日のアポイントを急遽キャンセルした。半年ほど前から勤めていた会社の経営状況が良くないと耳にしていたので、本社の発表内容を僕は推測できた。
昼前に本社からFAX送られてきた。FAXの内容は社長から社員への通達で、上司がその内容を読み上げた。
「本日をもって全社員を解雇する」
社長は会社の破産申請を選択し、午後に裁判所に出掛け破産申請手続きを始めた。その後、どこで知ったのか多くの取引先が事務所に押しかけ、僕等に状況説明を求めてきた。またリース業者が事務所に押しかけリースしていた備品や什器に差し押さえ、リースしていた3台の社用車を持ち去った。
それ以降、解雇された社員はそれぞれ人生で大きな選択をする。
人は日常の中での些細な出来事から、人生のターニングポイントになるような大きな出来事まで常に選択を繰り返し生きており、その連続する選択で人生は大きく変化する。一方、人は大きな選択をすることで変化することも恐れてしまう。
数年前、倒産後に再就職を選択した後輩と酒を飲んでいると、彼はこう言った。
「あの時、再就職せず独立を選択していれば、今とは随分違っていたのかもしれません…」
「今からでも独立は遅くないんじゃないの?」
彼は今も独立することを選択せずに働いている。
今週、福岡でもうっすらと雪が積もり寒い日が続いているが、北陸では春一番が吹いたようで春の気配を感じさせる。僕の頭も年齢とともに髪が薄くなり枯れ野のようになってきたが、昨年の11月からリアップを使用し、今では少しずつ髪にハリとコシが戻り新しい髪の毛が芽吹き始めた。初夏の頃には僕の頭も夏草のように増えているだろう(笑)
ところで極寒の大国であるロシアは大きな軍隊をウクライナ国境に進め、ウクライナとの間で緊張が高まっている。なぜロシアはここまで強硬なのだろうか。先日、YouTubeで「ロシアの論理で読み解くウクライナ危機」と言う動画を見ると、ロシアの強硬な姿勢が良く理解できた。
ロシアの歴史は悲しいものでロシアは幾度となくヨーロッパ西側諸国から侵略された過去があり、そのことがトラウマになっていると言う。
まず1,800年代初頭にナポレオンが大軍でロシアに侵攻しモスクワは陥落したが、ロシアは「冬将軍」と言われる厳しい冬を味方に付け必死に抵抗しナポレオンから祖国を守った。そして第一次、第二次世界大戦ではドイツがロシアに侵攻し、国が滅ぶ寸前の戦いが繰り広げられたが、この戦いでもロシアは必死に戦い祖国を守った。第二次世界大戦で日本人の死者は兵士と民間人を合わせて約300万だったのに対し、ロシアとドイツ(ナチス)との戦いでは兵士と民間人を合わせてなんと約2,700万人のロシア人が命を落としたと言う。そのドイツ(ナチス)との戦いの主戦場はウクライナで、その地でナチスを打ち破り祖国を守ったという意識がロシア国民には非常に強い。またヨーロッパ西側諸国からの侵略はいつもウクライナから攻め込まれており、ロシアは緩衝地帯のウクライナが必要だと考えていると言う。
その後、ロシア(旧ソ連)はアメリカやヨーロッパ西側諸国と対立したが、冷戦が終結しアメリカやヨーロッパ西側諸国と和解する際に、当時のロシア(旧ソ連)の最高指導者であるゴルバチョフはNATOがこれ以上、ヨーロッパ東側に拡大はしないように約束したと言う。
日本も含め世界の多くのメディアはロシアがウクライナに一方的に攻め侵略しているように報道しているが、逆にロシアの視点で考えるとロシアの真意が見えてくる。今の時代は簡単にメディアやネットから情報を得ることができるが、その情報は偏ったものが多くフェイクニュースも含まれるので真実を見失ってしまう。常に大局的に世界を見る目を養い、真実を知ることが必要だ。
あと数週間すれば日本の各地で春一番が吹き、心待ちにした春が訪れる。早く殺伐とした季節が終わり、平和で希望溢れる季節が訪れて欲しい。
あっと言う間に2月に入り、あと1カ月半もすれば桜の開花の便りが届く頃になるが、心躍るようなニュースは無く閉塞感が世界を包む。
新型コロナウィルスは発生から2年経つが未だに収束の兆しはなく、変異したオミクロンロン株の感染者は日本でも拡大し、福岡も「まん延防止等重点措置」が適用され病床使用率は50%を超えた。
また岸田政権は「新しい資本主義」と訳の分からない言葉を使い成長と分配を訴えているが、日本企業は高度経済成長期のような成長はなく日本人の所得は増えず、物価が上昇する「悪いインフレ」が進行している。世界に目を向けると北朝鮮のロケットマンはミサイルを乱発し、ロシアとウクライナでは地政学リスクが高まり軍事衝突の緊張が続いている。これからの世界は一体どこへ向かうのだろうか。AI(人工知能)にこれからの世界を予測してもらうと、どんな予測をするのだろうか?
ところでAIは今や世界中で進歩している。AIは膨大な過去のデータなどから問題を分析し最適な答えを瞬時に導き、自動運転、物流、医療など幅広く活用され、私たちの暮らしを大きく変えている。そしてこのAIは恐ろしいことに武器にも利用され始めている。
トルコでは軍事兵器の開発を推し進め、トルコ国防省主催で防衛産業の国際見本市がイスタンブールで開催され、国内外の武器製造会社など1,200社が出展したそうだ。その見本市でトルコの軍事企業が開発したドローンが話題になった。そのドローンは爆弾を搭載し、人間の指示を受けることなくAIが自立的に判断し敵を攻撃するシステムが組み込まれており、AIが標的と判断すると自動で標的に突っ込んで自爆する無人の攻撃型ドローンだ。そして恐ろしいことにこの攻撃型ドローンは既に紛争地域の実戦に使用され、人や施設を攻撃し大きな成果を上げていると言う。
2018年に亡くなった第2のアインシュタインと言われた車椅子の天才物理学者、スティーブン・ホーキンス博士は亡くなる直前にこう語ったそうだ。
「AIの到来は、人類史上最善の出来事になるか、また最悪の出来事になるだろう。AIの潜在的恩恵はとてつもなく大きい。病気や貧困を撲滅できるかもしれないが、AIは危険も招くだろう。気がかりなのはAIの性能が急速に上がり自ら進化を始めてしまうことだ。遠い将来、AIが自分自身の意思を持ち私たちと対立するようになるかもしれない」
もしホーキンス博士の言葉が現実になると、地上で満開の桜を見ることができなくなるかもしれない。