3月に入ると長雨と寒の戻りで、福岡の桜は平年より遅れて開花した。今週、誕生日を迎える高齢のお袋を祝おうと、満開の桜を臨める店に予約の電話を入れたが、既に花見客で予約は一杯だったのでホテルの和食レストランを予約した。結局、桜の開花が遅れたことで桜の臨める店を予約しなくて良かった。自然は人間の考えるようには動いてくれない。
大病を何度も克服し百戦錬磨のお袋は、今年の誕生日で米寿を迎える。長寿のお祝いは、中国の儒教の敬老思想と長寿を尊ぶという思想が起源で、長寿を祝う慣習が日本に伝わり平安時代の貴族の間で広まった。その後、祝いの節目は、奈良時代から鎌倉時代で変容し、現代では60歳「還暦」、70歳「古稀」、77歳「喜寿」、80歳「傘寿」、88歳「米寿」と続き、さらに90歳「卒寿」、99歳「白寿」、100歳「百寿」と現代の数え方で祝うことが広まった。中でも特に知名度の高い長寿の祝いは「還暦」と「米寿」でちゃんちゃんこを着て祝う。
昔は寿命が短く60歳を迎える頃には子供のように体が弱わっていたので、「還暦」は「生まれた年に還る」という理由から、子供用の袖なし羽織(はおり)の「ちゃんちゃんこ」を着せて祝うようになった。またちゃんちゃんこは厄除けの意味を込め、赤い物を着るようになったそうだ。「米寿」は、米寿の「米」を解くと八十八になることが所以だが、お米の稲穂を見立てた黄金(黄色)のちゃんちゃんこを着て祝う。しかし地方によっては長寿の祝いの節目の年を厄年と捉えお祓いをするところもあり、「祝うとそれ以上長生きしなくなる」ともいわれ、長寿の祝いをしない地域もあるそうだ。
予約時にホテルにその旨を伝え、黄金色のちゃんちゃんこを用意してもらい、ちゃんちゃんこを着たお袋が恥ずかしくないように個室を予約した。
当日、お袋が席に着くと黄金のちゃんちゃんこが運ばれてきた。お袋は驚いていたが、そう恥ずかしがることも無く、自ら喜んで黄金のちゃんちゃんこを着て同色の大黒帽を被った。
「どうね、似合っとるね?」
「似合っとうよ。しかし派手やな~。お袋が死んだら遺影にしてやるけん写真を撮ろう!」
「何ば、バカなこと言いよると!こげん祝ってもらえるなら、まだ長生きせんといかん」
そう言って笑うお袋の写真を撮った。その日お袋は上機嫌で旨い食事とワインを楽しんだ。そして食事が終わる頃、お袋が言った。
「次のお祝いは何歳でするんかね?」
「次は90歳の卒寿やね」
「もう直ぐやね!より頑張ろう!」
お袋は日本人女性の平均寿命の87歳を超えた。これからも元気に記録を伸ばして欲しい。
昔から冥途は太陽が沈む西にあるとされ、真西に太陽が沈むお彼岸の時期は現世が最も冥途に近づく。そのため日本では昔から先祖供養に墓参りに出掛ける習慣が根付いている。僕も20日の春分の日に墓参りに出掛け先祖が眠る墓で手を合わせた。
「いつも見守ってくれてありがとうございます。時代は大きく変化していますが、これからも見守って下さい」
今週、異次元の金融緩和が長く続いた日本は「金利のある世界」へと時代は変化した。日銀の金融政策正常化をマーケットが織り込む中、金利正常化で金融市場や家計、企業活動に起こり得る変化に注目が集まっている。マーケットの変動が終わると、次は実体経済へ影響が及びそうだ。「金利のある世界」になると、私たちの暮らしはどう変わるのだろうか…。メリットとデメリットを考えてみた。
「金利のある世界のメリット」
- 現在、加速しているインフレを抑制することができる。
- 銀行の収益が改善され金融関連銘柄の株価が上昇することに繋がる。
- 銀行預金の金利が上昇する。ちなみにバブル期にピークを付けた銀行の利率は普通預金2.08%、定期預金(2年間)では6.33%だった。
- 為替は円高に振れるので輸入品の価格が下がり海外旅行にも出掛けやすくなる。
「金利のある世界のデメリット」
- 企業や個人がお金を借りにくくなり、設備投資や新規事業の立ち上げが難しくなる。
- 金利の上昇や金融引き締めにより、40,000円を超えた株価に水を差すことになる。
- 住宅を購入した人の約7割の人が変動金利でローンを組んでおり、変動金利でローンを組む人たちにとっては返済額が増えることになる。
- 円安で稼いでいる日本のグローバル企業が円高により業績が悪化してしまう。また外国人旅行者の数は減少し観光業に水を差すことに繋がる。
- 円高で輸入商品の物価が下落し、消費者物価指数が再び上昇しデフレに逆戻りする可能性がある。
- 先進諸国の中で最も公的債務を抱える日本は、債務返済コストの増加につながる。
簡単に「金利のある世界」のメリットとデメリットをまとめたが、金利の上昇で喜んでいるのは銀行と預金を多く持つ人なのかもしれない。いずれにしても日銀は慎重に利上げを判断するだろう。円高なったら海外旅行に出掛けよう♪
昨晩の雨は止み翌日は朝から青空が広がったので、ヨットハーバーに隣接する公園に愛犬Q次郎と散歩に出掛けた。僕はダウンジャケットを着ていたが、ポカポカの陽気で暑くなりダウンジャケットを脱ごうと立ち止ると、公園の隅にある一本の桜の木が目に留まった。周りの桜の木は開花までもう少し時間が掛りそうだが、その桜の木は既に満開の時期は過ぎ桜吹雪のように花びらが舞っていた。近づいて桜を眺めていると、昔、行った花見を思い出した。
以前、お世話になっている得意先や媒体社の方を招待し、桜の名所で知られる神社で夜桜を楽しむ花見を行ったことがある。事前に花見の場所をロケハンし、神社の神主に相談すると快諾してくれたので奉納金を納めると、花見当日、神主から日本酒一升瓶(お神酒)の差し入れを頂いた。「有難い!」
当日は満開の桜の木の下にイベント会社の方に頼んで花見会場を設営してもらった。会場は四方を紅白幕で囲いブルーシートの上に畳を20畳ほど敷き、白のテーブルクロスを広げた座卓と座布団を並べた。座卓の上には提灯をずらりと吊るし桜の花をライトアップ。招待客が寒くないように大きな石油ストーブ数台とひざ掛けも用意した。そしてステージを組み両脇には花屋に頼んで立派な桜の花を活けてもらい大きな赤い番傘を飾った。
料理は馴染みの料亭に豪華な弁当と大きな鍋に入ったおでんを用意してもらい、おでんはカセットコンロで温めた。酒はビールと手軽に熱燗ができる缶に入った日本酒を大量に用意し、さらに和装の芸者さん3人を手配し、うちの女性スタッフも全員和装で参加することに。日が落ちる頃、招待客が集まると、皆、口々に感嘆の声を挙げていた。
時間が経過すると春先で冷え込んできたので、皆、熱燗がよく進み、中には一気飲みをする人まで現れた。皆、桜を満喫し大いに盛り上がり夜の11時頃にお開きにした。招待客が帰った後、スタッフは会場を簡単に片づけ、しばらくの間、桜を眺めながら軽く酒を飲み労をねぎらった。
翌日知ったが、スタッフの一人は泥酔し花見会場で眠ってしまい、翌朝、会場撤去に訪れたイベント会社の方に起こされたという。彼は明け方、厳しい寒さで目を覚ますと、自分がどこにいるのか理解できず、ライトアップされた桜が幻想的で、一瞬、天国にいるのかと思ったという。そして近くにあったひざ掛けにくるまって朝まで眠ったそうだ。
「しかしお前アホやな~。盗人にも遭わんで、凍死せんで良かったな!」
今年もお袋を連れて花見に行こう。