以前、勤めていた会社の先輩が久しぶりに事務所を訪ねてきた。彼は今も大手広告会社で働いているが、15年前に一緒に働いていた頃と見た目は随分変わり、まるで初老のおじさんのように見えた。
またその頃と比べると会話の内容も変わり、彼は親の介護のことや定年後の生活などを話した。
彼の務める会社の定年は64歳らしいが、その歳まで会社に残る者はいないそうだ。理由は60歳を過ぎると現在の自分の部下が上司になり立場が逆転するからだそうだ。
彼も60歳で退職すると言う。
「退職金がたんまり入るだろうから安泰なのでは?」
僕が尋ねると、彼は退職金の額は雀の涙ほどだと言う。
昔は退職金が数千万円などと良く耳にしたが、近頃の多くの企業では退職金は乏しいそうだ。
しかも年金も当てにならないので、彼は退職後、再就職先を探すと言う。
「会社やめたらお前のところで、俺どうかな~?」
と彼は冗談交じりに言う。
「筆記試験と面接があるので、それ次第でしょうね!」
僕がそう返すと彼は笑っていた。
そして近いうちに一杯やろうと彼はそう言って帰っていった。
最近、「1億総活躍」と安部首相は奇妙なスローガンを掲げ、改革に乗り出そうとしている。
ところで総務省の平成26年度の調査では、日本の総人口はおよそ1億3千万人弱で、65歳以上が3千万人強いる。
65歳以下の全ての人口がおよそ1億人ということになる。
逆に0歳児から22歳までの人口もおよそ3千万人弱なので、22歳以上の全ての人口もおよそ1億人となる。
さて、安部首相の掲げる「1億層活躍」とはどちらの1億人を指しているのだろうか?
生まれたばかりの赤ん坊から活躍しなければならない社会なのか、それとも寝たきりの老人までが活躍しなければならない社会なのだろうか?(笑)
先の大戦で日本軍が「1億総玉砕」とスローガンを高々と掲げていたことを、ふと思い出した。
written by マックス
8月が過ぎ9月に入った。本来であればこれからが台風シーズンとなり、沖縄や九州は例年台風の通り道だ。しかし今年は例年とは異なり、8月に大型の台風が立て続けに発生し、関東、東北、北海道を進み甚大な損害を与えた。そして新たな台風が発生し勢力を上げながら、今週末にも九州に到達しそうだ。
また今年の8月は異常な暑さで、今までにないほどの猛暑に感じられた。今年の夏は僕が生きてきた中で最も暑い夏だったので、身も心も解けてしまった。このところの気象状況は以前とは随分変わってきているようだ。
今までは南極の氷が解けただの、北欧の氷河が小さくなっただの、映像で見るものばかりで、温暖化を体で感じたことはなかったが、今年の夏は温暖化が進んでいることを実感した。
僕が生きているうちに気候は極端に変わることはないだろうが、未来の地球では温暖化が進み、熱帯化してしまうかもしれない。そして殆どの地域が砂漠になってしまい、日本のいたるところでラクダが背中に人を乗せて歩いているかもしれない。
僕は本心から夏が大嫌いで、季節の中で夏はなくなってしまえばいいと思ってはいるが、人間を含め、動植物の生態が大きく崩れることになるだろうと、仕方なく夏を容認している。
これ以上夏が暑くなると、学生のように長い夏休みを設けなくてはならないと思う。宿題や絵日記などをやるのはごめんだが。
9月に入り暑さは急に緩み過ごし易くなった。夏が去ったことで心が弾む。
また来年も夏が来ることを思うと、今から憂鬱になってしまう。
written by ジェイク
学生時代の友人から連絡があり、転職を考えているので良い就職先があれば紹介して欲しいと言われた。彼は何度も転職を繰り返しているが、彼に問題があるのか、それとも偶然就職した先に問題があるのか…。
僕はこの年齢で良い就職先はないだろうと伝え、僕の別の友人が経営している人材派遣会社を紹介することにした。
ところで、この世界には多くの人が働いており、多くの仕事がある。仕事には「天職」、「適職」、それに「不適職」がある。
「天職」とは自らがその仕事に誇りと喜びを感じ、どんなに苦しくても己の技術を磨き、知識を付け、常に上を目指す仕事なのだろう。そして「天職」はその仕事そのものが生き甲斐で、その人にとって、その仕事以外は考えられないものだ。
「適職」とは文字通り自らに適した仕事で、自らのスキルを生かせ、自らの価値観やライフスタイルに合った仕事で、診断テストなどで論理的に導かせることができる。また「適職」は、そう苦痛を感じることのない仕事だろう。もし苦痛を感じれば転職すれば良いのだから。
「不適職」とは僕の考えた言葉だ。嫌な仕事だが、生きるために我慢して仕方なくやっている仕事を指している。
「天職」と「適職」の良し悪しはないが、「天職」のほうが重みを感じてしまう。一生のうち「天職」に巡り合える人は一握りの人で、「天職」に巡り合えた人は本当に幸せだろう。逆に多くの人は「適職」か「不適職」の仕事で「不適職」の仕事に就いた人は人生がとにかく辛く悲しいものだろう。
転職を考えている僕の友人は「天職」、「適職」、「不適職」どれを探しているのだろうか。いずれにしても彼の能力が発揮できる就職先に巡り合えることを望んでいる。
僕は今のところ自分の仕事を「天職」と感じているので、幸せなのだろう。
あまり幸せの実感はないが(笑)
written by 彦之丞