少し前だが、歯茎に炎症があったので歯医者で診てもらった。歯と歯茎の間から菌が入り炎症を起こしていたようで、医者からは定期的に歯石を取り除いたほうが良いと言われ、その歯医者で定期的に歯石を取り除いてもらっている。
歯石を取り除いてもらい支払が終わると、決まって次回の予約を聞かれる。
「次回の予約はいつにしますか?」
「半年後くらいにまた来ます」
と僕が言うと、
「本日より2ヶ月を過ぎると初診料がかかります。2ヶ月以内だと初診料が掛かりません」
「…」
以前、親しい先輩から月に1、2度は足裏マッサージに行くことを薦められた。彼はすい臓癌になり、手術を受け退院する際に主治医からこう言われたそうだ。
「引力で足の裏に体中の老廃物が溜まるので、癌が再発しないためにも定期的に足裏マッサージをしなさい。足裏をマッサージすることで足裏に溜まった老廃物が一旦体内に戻り、マッサージ後にしっかり水分を摂ることで、老廃物は尿と一緒に体内から出るから」
僕はその話を聞いて月に1度必ず足裏マッサージに出かけている。
先日、馴染みのマッサージ店で足裏マッサージをしてもらった。マッサージを終えるとスタッフにこう聞かれた。
「次回の予約はいつにしますか?」
「1ヵ月後に来るよ」
「いや、2週間以内の来店をお奨めしています。解して時間が経たないうちにお越しになったほうが効果的です」
どこかで聞いたセリフだなと、思いながら僕は断った。
歯医者もマッサージ店も競合が多いからなのだろう。どこも客を囲い込むことに必死だ。最近はポイントカードだけでは囲い込みが難しいのだろう。
「今日はありがとうございます。ところで次回の予約はいつにしますか?」
この言葉は費用のかからないプロモーション手法のひとつだろう。気の弱い客だと、ついこの言葉に返事をしてしまいそうだ。
費用を掛けずに効果的なプロモーション手法はまだたくさんありそうだ。
written by モンコ
昔は考えるより先に行動するタイプの人間が多かった。僕もそのタイプだったので、上司からお前は無鉄砲だから少し考えてから行動しろ!と、よく叱られものだ。また古くからの親しい取引先の先輩からは「走りながら考えろ!」と、教えてくれた。
今ではパソコンやネットが普及したこともあり、まずはネットで色々と下調べをし、それから考えをまとめて行動に移す人間が多いようだ。
行動が先か、考えることが先か、どちらも極端すぎると問題だが、親しい先輩の言うように、「走りながら考える」ことが大切だと僕は思う。
まずは行動することで、色んな人に出会うことができ人脈が広がり、生の情報がたくさん入手できる。その人脈と生の情報が増えていくことで、たくさんのヒントやアイデアが生まれユニークな企画が生まれる。
「現場力」とは現場に出向き多くの人に会い、多くのものに触れ、入手した生の情報から仕事を組み立てる力のことだ。
「現場力」を大切にする仕事のひとつに刑事という仕事がある。刑事は事件直後から犯人を割り出すため聞き込みを始める。聞き込みは有力な情報に辿りつくまで徹底して行われる。
随分昔に刑事さんと話したことがあるが、一体、何が刑事さんの執念を掻きたてるのか尋ねと、殺人現場を見ると、何としても犯人を捕まえてやると思うそうだ。
「この前も、酷い事件があった。現場に駆けつけたらドラム缶の中に焼死体があった。その酷い死体を見たとき、言いようの無い怒りと悲しみで全身が振るえ、殺された人の無念さを強く感じた。そして何が何でも犯人を捕まえんと、殺された者が浮かばれんと思ったんだよ」
「現場力」 …ひょっとすると職務を超えた使命感や信念が支えているのかもしれない。
written by ベルハルト
大手広告会社の若い女性社員が過労により自殺し、社会に大きな波紋が広がっている。その企業内でどのような指示や業務があったのか詳しく知らないが、長時間の残業に休日の出勤と、彼女は毎日仕事に追われていたようだ。
きっと彼女は真面目な性格で、社内で反発もせず、毎日、余裕も無く、心のゴムヒモがいつもピーンと張った状態だったのだろう。ある時、そのピーンと張ったゴムヒモはプチンと切れ、心がクラッシュし、鬱病のようになってしまったのだろう。そして自ら死ぬことでその状況から開放されることを望んだ。
死を選択させるまで、社員を追い詰める企業は何とも異常だが、彼女はその状況から上手に抜け出せなかったのだろうか?彼女は自分の大切な価値観を社内で主張することができなかったのだろうか?そして社内に誰も彼女を守る仲間はいなかったのだろうか?
死に追い込まれるほど仕事をするということを僕は理解できない。僕は何事も8分で取組み、2分の余裕を持ってないといけないと思っている。それが自然の摂理だと考える。野生のライオンも狩りと食事以外はほとんど寝ている。
ところで当社の企業理念は、
『広告とクリエイティブ業務を通じてお取引先様を正しく幸せにし、
そして社会に正しい幸せを広げる』
と掲げている。お取引先様にはお得意先と協力会社も含まれ、社会には社員はもちろん、広告に触れた消費者も含まれている。そして単に幸せにするではなく、正しく幸せにしなければならないと考えている。
そのためには心に余裕がないといけないし、多くの人や物、そして多くの文化などに触れ、感性も磨かなければならない。
自殺した彼女は死をもって仕事から解放される幸せを求めたが、それは正しい幸せだったのだろうか?そしてその大手広告会社は正しい幸せを社会に広げているのだろうか?
残された遺族は彼女の死を決して受け入れることはできないだろう。そして正しい幸せを感じることもできなくなるだろう。
written by マックス