トランプが大統領になり彼の放埓な言動でアメリカは大きく分断された。彼の「アメリカファースト」と言う自国を守る内向きな言動は世界に広がり、ヨーロッパも刺激されている。4月後半に予定しているフランス大統領選が心配だ。もしフランスで極右派のルペン大統領が選挙で勝利すると、EUは崩壊へと加速し大きな金融危機に直面するかもしれない。
トランプは就任後、多少冷静さを取り戻し大人しくなるかと思っていたが、就任すると矢継ぎ早に大統領令を連発し、選挙時よりボルテージが上がっているようだ。
彼の先祖も移民だったはずなのに、イスラム国7カ国のアメリカへの入国禁止令を出し、世界中でデモにまで発展している。また台湾とも平然と接触し「一つの中国」に縛られないと言い、中国のメンツを傷つけた。プライドの高い中国は怒り心頭だろう。
日本には自動車の輸出入にも不公平と言い、為替操作国と名指しで批判している。来週予定されている日米首脳会談が心配だ。
「ですよね~」
以前、僕の上司は、お得意先に同行すると揉み手をしながら、この言葉をよく口にしていた。彼は広告業界が短いこともあり広告の知識が無く経済も疎かったので、相手の会話に同調することしかできず、この言葉を連発していた。
お得意先も有益な情報を聞けるわけでもなく、お得意の貴重な時間を無駄にしてしまうので僕は彼がお得意先を訪問することを拒んだ。
日本人は彼のように揉み手で相手を煽て機嫌を伺いながら友好関係を築く人が多いので、来週予定している安倍首相とトランプとの会談が心配だ。
「日本はアメリカに車を随分と売りガッポリ儲けているじゃないか?しかも為替操作しているだろう?」
トランプが安倍さんにそう言うと、安倍さんは
「ですよね~」
これでは埒が明かない。
安倍さんトランプさんとしっかり交渉して下さいよ!!
written by 彦之丞
先日、ある宴席でゼロ戦の技術の高さが話題となった。僕は飛行機が好きで、以前は戦記にのめり込みゼロ戦などの本を随分読んだので、その話題に盛り上がった。
「飛行機って夢があるちゃんね~。色んな想いを乗せて、障害物が一斉ない青い大空を飛ぶっちゃけん!」
僕がそう言うと、その席に参加していた元CAの女性が僕にこう言った。
「亡くなった主人が大切にしていた戦闘機の操縦桿をもらってくれませんか?」
「…」
僕は一瞬、固まった。
彼女のご主人は一昨年、仕事中に突然倒れ急逝してしまった。ご主人は以前航空自衛隊に入隊しており、その後、民間航空会社の整備士になり仕事の途中に倒れたそうだ。戦闘機の操縦桿はご主人が航空自衛隊を辞める際に、自衛隊の仲間から記念品としてもらい大切にしていたそうだ。
彼女はご主人を亡くし子供はいないので、興味のない戦闘機の操縦桿を、持っていても仕方ないと、どなたか喜ばれる方に引き取ってもらおうと思っていたそうだ。
「ご主人が大切にしていた物をもらえませんよ。興味がないのであれば、どこかの博物館に寄贈したほうがいいですよ!」
僕は断るが、彼女はあなたにはお世話になっているし飛行機が好きなのであればと、譲らない。僕は話題を変えその場をはぐらかした。
後日、僕が外出から事務所に戻ると、僕の机に戦闘機の操縦桿と水平器が置かれていた。スタッフに尋ねると、先日の女性が持ってきて置いて帰ったそうだ。その操縦桿は戦闘機F86の本物の操縦桿で、機銃やミサイルのスイッチが付いており、どっしりとしたステンレス製の台座に据え付けられていた。僕は彼女が新たな人生を進みたいのだと思い、一旦事務所に飾ることしした。
その操縦桿や水平位置指示器を見ていると、子供の頃から空に憧れ亡くなったご主人の想いを感じた。ひょっとすると彼は仕事などで辛いとき、当時の仲間に貰ったF86の操縦桿を握り、自分と戦っていたのかもしれない。そして人生を安定飛行するために水平器を見ながら、自分の夢に向かって飛んでいたのかもしれない。
F86の操縦桿を握った。心が熱くなった。
「やはりお返ししよう…」
written by ベルハルト
年が明け宴会が続いている。今週も東京の親しい取引先の先輩が来福し宴会となった。彼は酒豪で宴会では「イッキ飲み」を推奨する。彼一人が自らイッキ飲みをするのであれば良いのだが、宴会に参加している者にもイッキ飲みを勧めるので、厄介な人物なのだ。宴会の参加者の平均年齢は40代後半なので、若い頃と違いイッキ飲みは肉体的にも精神的にもダメージが大きい。
そこで僕は、
「イッキ飲み根絶!!」、「イッキ飲み撲滅!!」、「イッキ飲み断固反対!!」
の言葉をプリントしたハチマキを制作し宴会に参加した。
宴会は順調に盛り上がりビールから日本酒へと移り、先輩の心にイッキ飲みの火が付いた。そして彼が率先してイッキ飲みを始めようとしたその瞬間、僕は用意していたハチマキを周りの参加者に配った。
「それでは今から私がイッキしま~す!」
と先輩がグラスを手に持つと、周りは直ぐにそのハチマキを頭に締め、イッキ飲み反対を訴えた。そのハチマキを見て彼は一瞬怯んだが、彼は妥協することなくイッキ飲みを始めた。
一軒目ではハチマキがあったお陰で、先輩は周りにイッキ飲みを勧めることは無く、犠牲者はでなかった。しかし2軒目では酒の勢いもあり、彼は部下にイッキ飲みを勧め、部下は「イッキ飲み根絶!!」と書いたハチマキを頭に締めたままイッキ飲みをし、ついにダウンして眠ってしまった。
さらに3軒目では先輩はそのハチマキを気に入ったようで、周りの人の目を全く気にすることなく、そのハチマキを頭に締め野獣のようにイッキ飲みをしていた。そして全く別の客にまで酒を勧める始末。今ではイッキ飲みは社会的に問題になりそうだが、僕らの世代では宴席でのひとつの文化だ。その後、宴席も終わり皆無事に帰宅した。
もし、そのハチマキをしたまま路上で潰れている姿を通行人が見ると、イッキ飲みを拒絶し断固反対したにもかかわらず、結局イッキ飲みを勧められ、潰れて眠ってしまったと思うだろう。
なかなか微笑ましい光景だ。
written by ゴンザレス