突然、叔父が亡くなり葬式に出席した。叔父は日頃より健康にかなり気を遣っていたが、急性大動脈解離という恐ろしい病になり急逝したそうだ。叔父は仕事を随分前に辞めていたので、人付き合いはあまり無かったようで会葬客は少なかったが、葬儀会場は広く、祭壇も大きく立派な葬式だった。
叔父の長男で僕の従弟にどうしてこんな盛大な葬式にしたのか尋ねると、父が生きていたら会葬客に対しての失礼がないようにと言うだろうからと、母が盛大な葬儀を行うことを決めたそうだ。そして葬儀の費用を聞いて僕は驚いた。何と普通自動車が1台買える金額だった。葬式にそんなに費用を掛けるのであれば、もっと他に使い道はなかったのだろうか。
戦後の総理大臣となった吉田茂の補佐役だった白洲次郎は、若い頃にイギリス留学の経験があり英語は堪能で、しかも頭脳明晰だった。彼は新たに日本国憲法を作るうえでGHQと幾度も苦しい交渉にあたった男で、戦勝国のアメリカから少しでも有利な条件で日本を独立、復興させるために奮闘した人物だ。天皇の好意に対して失礼な態度をとったマッカーサーを怒鳴りつけるほど、実直な人物だった。そんな彼は晩年、質素倹約に過ごし、常日頃から自分が死んだら金を使う必要はないと家族に話しており、次のような遺言を残したそうだ。
「葬式不要、戒名無用」
葬儀の帰りの車の中で僕は親にこう切り出した。
「葬儀に金を掛けるのは勿体ないし無駄やけん、二人の葬式は派手にせんよ」
母は質素な家族葬で良いと言っていたが、父は違った。
「頼むから俺の葬式はしっかりやってくれよ~!」
「しっかりとした葬式ばしても親父は既にこの世にはおらし出席できんとぜ!それやったら生前葬にしたら?生きているうちに世話になった人ば集めて大宴会したらいいやん!」
そう僕が言うと父は
「生前葬ばして、その後、死んだ時はどうするとや?」
「生きとるうちぬ葬儀しとるけん、死んだら直ぐに火葬場やろ!」
「…」
「親父は葬式を何回もするとね?」
written by キムジー
宅配業界や飲食業界などの時給が跳ね上がっている。お歳暮シーズンを迎え大手宅配会社は配達の人員が足りず、時給2,000円以上支払って人員を集めているという。また飲食店も忘年会シーズンを控え人手不足が深刻で、宅配業界同様に時給が跳ね上がっている。人件費はそもそも固定費の一部なので、固定費が嵩むと会社の経営は逼迫してしまう。
確かに少子高齢化は問題ではあるが、人手不足は社会の問題ではなく、経営側に問題があると思う。しっかり差別化され強みを持つ企業では人手不足はあまり耳にしないが、差別化されていない企業が人手不足で悩んでいる。
しかも差別化できていない企業は仮に消滅したとしても社会にインパクトは全くない。例えばある牛丼チェーン店が消滅しても消費者は全く困ることはなく、別の生き残った他の牛丼店に行けば事足りてしまう。宅配業界もまた差別化されておらず、品物を丁寧に決まった日に決められた場所に確実に届けてもらえさえすれば事足りる。差別化されていない企業は低価格だけを武器に差別化を図ることになるので、そこに人手不足で人件費が跳ね上がると、事業は立ち行かなくなってしまう。
多くの日本企業はモノマネ企業で、儲かっている企業の商品やサービスを直ぐに真似、そのカテゴリーに参入する。多少、商品やサービスに改良を加え、価格は低価格に設定し、広告の量で先行している企業を追随する。日本企業のモノマネは中国企業のやっていることとそう変わらない。中国企業と異なる点は著作権などのルールをきちんと守り、多少紳士的なところだけだろう。
日本は企業だけではなくタレントも同じように他人を真似ることで仕事をしているモノマネ芸人がいる。他人を真似ることで仕事になるわけで、冷静に考えると何とも不思議に感じてしまう。ちなみに海外ではモノマネやそっくりさんのタレント業だけでは生計を立てることはできないそうだ。
その点アメリカの企業は日本企業とは大きく異なる。アメリカの代表企業であるアップルやアマゾンは大きな社会イノベーション起こし、新しい商品やサービスを世に送り出している。給与や時給をいくら上げてもモノマネ企業はいずれ淘汰される運命をたどることになるだろう。
written by 彦之丞
トヨタ自動車はハイブリッド車で世界に打って出たが、世界の自動車メーカーはハイブリッド車ではなく電気自動車へ大きく舵を切り始めた。以前、ビデオでビクターのVHSとソニーのベータが世界基準の座を争ったことがあったが、これからの自動車業界は電気自動車が世界基準になるようだ。
そしてヤマダ電機も2020年に電気自動車を販売するという。ヤマダ電機は家電販売だけではなくすでに住宅メーカーのS×Lを買収し、住宅販売やリフォームにも活路を見出している。このようにこれからは多くの企業が生き残りを懸け、既成の事業領域の壁を超え、三つ巴戦となっていくだろう。
先日、親しい取引先の方から子供の進路について相談を受けた。僕は大企業に就職してもこれからはその企業が時代の変化に対応し成長していくことは難しいだろうし、AIやロボットが人の仕事を奪っていくだろうから、ベンチャー企業への就職を考えることも視野に入れるべきだとアドバイスした。
ベンチャー企業の中にはニッチな世界で技術を磨いている企業が多く存在する。例えば蚊の口にあたる針を研究し、痛みのない注射針に応用する技術を開発する企業や、ヤモリの手足を研究し、壁に引っ付く技術を研究する企業、また蜘蛛の糸の研究やトンボの飛行まで研究する企業など、その応用技術が密かに話題になっている。
これからは会社の規模や給与、それに待遇よりも小規模でもいいから可能性のある企業に就職する方がよいと思う。今までにない新しい技術を研究するベンチャー企業に注目することが必要と思う。
「栄枯盛衰」。企業は成長し成熟し、そして衰退していく。これは自然の摂理でごく当然で自然の流れだ。成長期に入る前のベンチャー企業の方が夢や希望があるのではないだろうか。
今は人口減少もあり人手不足なので企業も採用に躍起になっているが、そのうち直ぐに大きくリストラされる時代が訪れるだろう。メガバンクは揃ってネットバンキングなどの普及により店舗窓口の利用客が減り店舗スタッフを抱えることが難しいと判断し、人員削減に動き出している。
これかの時代を見極めることは難しいが、未来に向けてベンチャー企業という小さな芽も育っているようだ。
written by ジェイク