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2020年09月25日

「暑さ寒さも彼岸まで」と言うが、9月の連休は随分涼しかったので、誰も住んでいない実家を整理することにした。実家は7LDKと随分広く物で溢れ返っており、その物量を見ただけで途方に暮れてしまう。それでも誰かがやらねばと、折れそうな心を奮い立たせた。

まずは台所から片付けることに。すると食器棚の中から親父が集めた徳利や猪口が山のように出てきた。僕の作業を傍で見ている手伝う気のないお袋に尋ねた。

「どうしてこげん徳利やら猪口があるとね―」
「お父さんは酒が好きやったろーが。出張やら旅行に行くたんびに、必ず徳利やら猪口ば買って来よったったい。あんたいらんね?」
「こげんいらんやろー。俺は日本酒は滅多に飲まんけん」
「じゃ―どうするね?」
「捨てるしかないやろ」
「もったいなかねー」
「なら後でリサイクルショップで売ってくるたい。しかし売れるとかいな…」

台所の片付けが終わり、次に親父が使っていたクローゼットを整理することに。クローゼットを開けると山のように親父の服があった。僕の作業を傍で見ている手伝う気のないお袋に尋ねた。

「何で仕事もとっくに辞めとるのにこげんスーツがあると?」
「ほら、お父さん、物ば捨てきらん性分やろうが、結婚してから洋服ば捨てたことないけん、60年間で買った服が入っとったい。あんた着らんね?」
「いらんばい。俺はスーツは着らんし、服は流行り廃りやらサイズがあるけんリサイクルショップや古着屋でも売れんやろーねー」
「じゃーどうするね?」
「捨てるしかないやろ」
「もったいなかねー」
「なら流行り廃りのないもんば、孫にやったらどうね?」
「そうやねー」

片付けの手伝いに来ていた甥っ子に流行り廃りのなさそうな服を半ば強引に薦め、甥っ子は渋々受け取る羽目に…。
これから実家の片付けはまだまだ続くが、寒くなる頃までには終わらせたい。

ちなみにリサイクルショップに持ち込んだ親父の徳利と猪口の数は250個ほどあり、査定をしてもらうと税込み価格で1,980円だった。お袋に換金したお金を渡すと喜んでいた。

written by 彦之丞

2020年09月18日

以前もブログで「20:80の法則」を紹介したが、理解していない人が多いので再度紹介しよう。「20:80の法則」は19世紀のイタリアの経済学者であるヴィルフレド・パレートによって提唱された法則で別名「パレートの法則」とも呼ばれる。この法則は物事の結果のうち80%は20%の要素によってもたらされると言うものだ。
パレートは高額納税者の税金を調査すると20%の高額納税者が全体の税金の80%を納め、残り80%の納税者が全体の税金の20%を納めていることに気付き、20%の富裕層が社会全体の富の80%を所有していることが分かった。
このように当初は所得配分に対して用いられる法則だったが、その後、経営やマーケティングなどにも応用できるとされ、ビジネスの領域でも広く使われるようになった。マーケティング分野では「売上の80%は顧客の20%が生み出す」、「売上の80%は20%の商品が生み出している」、「企業の売上の80%は20%の社員で生み出している」とよく言われる。

先日、あるお得意先の販促物の印刷を進めていると、色校正を虫眼鏡で覗かなければわからないほどの細かな画像の傷や汚れをいくつも指摘してくる。しかもその作業を4人で行っていると言うので僕は驚いた。僕は老眼なのでルーペで確認したが、決して気になる傷や汚れではなかった。果たしてこの仕事の進め方は正しいのだろうか。
100%の仕上がりを追求することは大切で素晴らしいことだと思うが、20%の時間と労力で80%の仕上がりを実現できる。100%の仕上がりにするためには残り80%の時間と労力が必要になるので、その時間と労力を多少他の仕事に振り向けた方が効率良く仕事ができるのではないだろうか。仕上がった販促物を手にした消費者がルーペで細部まで確認することはまず無いだろう。
このような文化がその企業の中で広がると全ての部署で同じ考え方が根付き、「20:80の法則」を理解し効率良く仕事をしている社員は仕事の取り組み方ややり方が間違っていると非難される。

「20%の社員が80%の売上を生み出し、20%社員が80%の利益を生む」
この「20:80の法則」の面白いところは80%の売上を生む20%の優秀な社員だけを集めて新プロジェクトや新会社を立ち上げると、その優秀な社員の中で新たに「20:80の法則」が働き20%の優秀な社員とそうでない80%の社員に分かれるという。
ひょっとすると仕事のできない80%の社員は企業にとって必要悪なのかもしれない…。

written by マックス

2020年09月11日

今週、数年ぶりに大型台風が九州を襲った。この台風は気圧が925ヘクトパスカルと過去に甚大な被害をもたらした伊勢湾台風と勢力がほぼ同じだったので、僕は台風にしっかり備えることにした。懐中電灯、ランタン、カセットコンロを準備し、窓ガラスが割れ飛散しないように窓を養生した。

台風が来る前日の朝、僕は養生テープを購入するためホームセンターへ出掛けた。ホームセンターの駐車場は既に車が一杯だったが何とか車を止め店に入ると、レジには懐中電灯や養生テープなどを求める客が列を作っていた。急いで養生テープの売り場に向かうと、既に養生テープは品切れだったので別のホームセンターに急いだ。しかし別のホームセンターでも養生テープは既に売り切れていたので、僕は仕方なく自宅戻った。そして自宅にあるもので窓を補強できないかと考えていると、台所にあったサランラップが目に入り、サランラップを窓前面に張り付け、その上にガムテープで補強することを思いついた。
全ての窓ガラスを補強し、ベランダにある植木鉢などを部屋に入れ、最後に愛車を守るため頑丈な建物の有料駐車場に愛車を移動させた。皆、考えることは同じようで頑丈な建物にある駐車場はマイカーを避難させるためどこも一杯だった。僕は運良く駐車場を確保することができ、台風対策で忙しく慌しかった1日は終わった。

深夜、「ゴォー」と響くような強い風の音で目が覚め、時計を見ると午前3時半。カーテン越しに暴風で今にも割れそうな窓から恐る恐る外を見ると、街路樹が折れそうなほど大きく揺れており、部屋から見える川の水面は強風に煽られ雨と一緒に水しぶきが舞っている。リビングでテレビを付けると台風は福岡に最接近していた。もう少し寝ようと床に入ったが大きな風の音で眠ることはできず、結局、朝まで起きていた。テレビには倒壊した家屋や鉄柱の折れた電灯、それに風に飛ばされる看板など台風被害の映像が幾度となく流れていた。朝7時を過ぎると風は徐々に収まり9時には随分と落ち着いて来た。その日は全ての学校は休校で交通機関も計画運休しており多くの企業も休みだったので、サランラップを貼った窓からは車も人影も全く見えなかった。

子供の頃は親の台風の備えを手伝うこともなく、停電すると懐中電灯や蝋燭の明かりで一晩過ごすことが日常とは異なりワクワクしていたが、今は自ら台風の備えをするので台風が鬱陶しく思う。台風が去り、窓ガラスに貼ったサランラップとガムテープを剥がしていると、母がこう言った。

「そのままにしとけばいいのに。また直ぐに台風は来るよ!」

台風の備えも手伝わず、慌しく動く僕を他人事のようにのんびり見ていたお袋は、ひょっとすると台風が来ることを楽しみにしているのかもしれない…。

written by ダニエル

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