先日、死後の世界を解明するドキュメンタリー番組を見た。番組では多くの臨死体験者にヒアリング調査を行った結果から見えたものや、現在の脳科学の研究から考えられることを紹介していた。
まず臨死体験者の多くは心肺停止後、前方に見える光に向かって暗いトンネルを進み、トンネルを抜けると目の前には美しく輝いた世界が広がっているそうだ。そこは美しい花畑が広がった幻想的な世界で、溢れんばかりの幸せを感じることができると証言していた。また良い香りや穏やかな音楽が流れていたと証言する人もいた。
そして死んだ自分の親や近親者がそこに現れて元の世界に戻るよう促され蘇生し、目が覚めたと言う。本当に死後の世界は美しい花畑が広がり、幸せに満ち溢れた世界が存在するのだろうか。
また脳科学の分野から死後の世界を研究する医者を取材していた。脳科学を研究するアメリカの女性医師は死んだネズミの脳がどう変化するのか研究しており、心肺停止した多くのネズミの脳を調べている。以前は心肺が停止すると、脳に酸素が供給されなくなるので脳の活動は直ぐに止まると考えられていたが、実際は心肺停止後、酸素が脳に供給されなくなっても脳は10分程度活動しており、さらにその間、複数回強く活動していることも分かったそうだ。そして研究の結果、ある仮説を立てた。
心肺停止後も脳は生きようと必死に活動しており、死の恐怖や苦しみを和らげるために自ら美しい光景を脳の中で投影していることが考えられると言う。また生きていたころの強烈な記憶などから幻覚を見ていることも考えられるそうだ。未だ脳は多くの謎があり、これから少しずつ解明が進んでいくだろうと話していた。
いずれにしても死後の世界を私たち生きている人間は覗くことはできないが、死後に幸せを感じる美しい世界が存在するのであれば、多少死への恐怖は薄れていく。だから脳の謎が全て解明されないほうが良いのではないだろうか…。
今週、川崎市で痛ましい通り魔事件が起き、多くの方が巻き込まれ大人と子供が亡くなった。「行ってらっしゃい」と、普段通りに見送った朝、その後の突然の死を遺族は受け入れることはできないだろう。亡くなった方と残された遺族のことを想うと無念で心が苦しくなる。
死後に幸せを感じる美しい世界が存在し、亡くなった方がそこに旅だったのであれば多少心は救われる。
とにかくご冥福を祈るばかりだ。
written by キャサリン
先日、某キー局の担当者が挨拶に来たので、テレビ業界に危機感を募らせていた僕は、これからのテレビ業界について尋ねみた。
現在、ネットで動画を視聴することは拡大しており、今までのテレビ局のビジネスモデルが成り立たなくなるのではないかと、彼はテレビ業界の前途を危惧していた。
そもそもテレビ局は免許制で国から電波を借り番組を放送している。国は将来、テレビ局が使用している地上波の電波を車の自動運転やスマートシティに活用したいようで、国から地上波をネットでも配信するよう要請が来ているそうだ。そして地上波のネット配信が定着した頃にテレビ局に貸していた電波を国は剥ぎ取ることになると言う。
ネットでテレビの地上波を配信することになると、テレビ局は巨大企業になったネットフリックスやアマゾンなどと真っ向から戦うことになるのだが、驚いたことにネットフリックスの制作費は日本の民放キー局5局の制作費を全て合わせた金額よりも大きく、キー局の制作する番組の質で勝ち目はないそうだ。
またキー局がネットで同時配信すると、全国でキー局の放送を終日視聴することができるのでローカル局のニーズは著しく低下してしまうことに繋がる。
広告収入から考えると、ネットでテレビ番組を視聴するために視聴者に初期登録をさせることでテレビ局は視聴者の属性を把握し、視聴番組から視聴者の趣味嗜好が分かり、それぞれの視聴者に合わせて広告を配信することが可能になると言う。しかし今の広告料金のように視聴率から弾かれたざっくりした金額ではなく、視聴者の単価に視聴者数を掛け合わせた明朗会計になり、広告収入は大きく減ってしまうそうだ。
現在のテレビ局は斜陽産業に移行してきており、後10年も持たないのではないかと彼は頭を抱えていた。そして転職するべきか本気で悩んでいた。
今までのビジネスモデルが大きく破壊され、インターネットが旧態依然のメディアを食い潰しているが、さらに数十年するとインターネットではない全く新しい技術が生まれ、現在全盛のインターネットも破壊されることになるだろう。
いずれにしても時代は常に変化しており、時代の変化に適応できない者は淘汰されていく。新聞、雑誌、ラジオそしてテレビ、今まで当たり前にあったメディアが消えていく日はそう遠くはないようだ。メディアで働いている方はいずれこう呟くだろう。
「あの頃は良かったよな~」
written by SDB-1
親父が信頼していた証券マンが挨拶もなく突然退職し、次の担当者が引継ぎのため親父に連絡をしてきた。親父は退職した証券マンを随分と信頼しており彼に色々相談しながら投資を行い、彼からの無理な相談にも付き合っていたようで、彼が挨拶もなく辞めたことにショックを受けた。そこでこの機会に株式投資を全て止めることにし、そのことを伝えるために証券会社に出掛けた。以前から高齢の親父に株の取引を勧めていた証券会社の担当者のことをお袋は良く思っておらず証券会社に文句のひとつでも言ってやろうと、お袋も同行した。
証券会社では親父とお袋は応接室に通され、次の担当者とその上長が同席した。親父は今後取引を止め所有している株の全て売却することを伝え、その後にお袋はこう切り出した。
「あなた方はこんな高齢で認知症の恐れのある人に株の売買を勧めるとは少しおかいしいんじゃないんですか?」
「えっ、認知症?そうなんですか?」
「認知症の恐れがあると医者に言われています。昨年、主人が入院した時も前任の方は病院まで電話してきて取引の話を持ち掛けるし非常識にもほどがあります!」
「入院?」
「主人は昨年転んで硬膜下出血で入院してたんです!」
「そ、そうなんですか?前任者が突然会社を辞めたので何も聞いておらず引継ぎができてなくて…。すいません。」
「前任の方は不正とか何か問題があったんではないですか?」
「それは全くないんですが。ところでご主人さまに認知症の恐れがあるのであれば、株の売買は一旦停止させていただきます。今はコンプライアンスなど会社が煩くて認知症の方に株の取引をすることは社会的にも大きな問題になっているんです。だから当社では高齢で認知症の方には取引を停止させていただいております。」
「停止?」
「何も聞かなければよかったのですが聞いてしまった以上、保有の株式を売却されるのであれば、親族の方に後見人になって頂き、その方と相談の上、法的に処理をしなければなりません」
「…」
親父とお袋は墓穴を掘ってしまった。
その日、お袋から連絡があり証券会社に僕が改めて会いに行く羽目に。
証券会社で親父が医者からは認知症の恐れがあると言われただけで、その診断は出ていないことを僕は担当者に説明した。その結果、親父と担当者が再度面談し、親父の会話や思考が正常なのか判断したうえで本社に判断を仰ぐことになった。
「だいたいそんな歳になって、株の売買なんかするけんやろ?」
僕が親父に言うと、親父はしょぼくれていた。
「あんたが頼りやけん!」
母がそう言うので僕が今後処理することになり、証券会社に連絡し親父の取引履歴を郵送してもらった。そして親父の取引履歴を見て驚いた。
「えっ、こんな金額を売買しよったったい(笑)塩漬けしてもいいやんか…」
アメリカの投資家バフェットじゃないんだから、75歳までに投資は終わらせるべきだろう。
written by 彦之丞