日本は温泉が多くあるからなのか、それとも日本人のDNAに組み込まれているからなのか、とにかく日本人は大の風呂好きだ。風呂は仕事とプライベートの時間を区切り、仕事の時間からプライベートの時間へとタイムシフトさせてくれる。
以前、五右衛門風呂入ったことはあるが、風呂を洗って水を溜め薪でお湯を沸かす。とにかく風呂を沸かすだけで一苦労だったが、今はタイマーで決めた時間に決めた温度で風呂が沸かすことができるので便利だ。
出張や旅行から帰ってきた人や、病院を退院した人に自宅に帰って、まず何をしたいのか尋ねると、決まってこう話す。
「まず、ゆっくり風呂に入って…」
刑務所から出所した人も決まってそう言うだろう(笑)
僕も一度、入院をしたことがあるが、退院後に真っ先にやったことはやはり風呂に入ることだった。そして入浴後に冷えたビールを飲んだ。至福の時間だ。
先日、入院している親父に同じ質問をしたが、やはり風呂に入りたいと言った。親父は医者から入浴が許されておらず、病院のベッドで一日を過ごしているので、少しでも入浴気分を味わってもらおうと、床屋の顔剃りを見様見真似で親父の顔を剃ってあげた。
まず、お湯で温めたタオルを絞り親父の顔にゆっくり広げて毛穴を広げる。(毛穴を広げることで深剃りができる)そのまま数分待ち、シェービングフォームを顔に広げ、再び温めたタオルを広げる。その後、再度シェービングフォームを顔に広げ、剃刀で丁寧に髭を剃っていく。
たまに剃刀が髭にひっかかり痛いのか、所々で親父は顔をしかめていたが、皮膚を傷つけることもなく上手く髭を剃ってあげることができた。顔剃りの後、再度温めたタオルで父の顔顔を拭いてあげた。
初めて自分以外の顔の髭を剃ったが、意外に上手く剃ることができた。冷えたビールを父に与えられないが、父は気持ち良かったと大変満足していた。
僕は自分の髭剃りよりも楽しく思えた。
written by モンコ
年齢を重ねると見舞いや葬式に出掛けることが増えてくる。学生の頃の友人に会っても同級生の○○が入院しただの、○○の親が亡くなっただの…。そんな話を聞くと、まだ遠くにある死を多少なりとも意識してしまう。
先日、入院している親父を見舞いに行くと、親父は悲しそうにこう呟いた。
「この歳になり、一旦、弱り始めると一気に弱るな~」
「親父、なんば言いよると!まだやりたいことあるやろ?頑張って早よ元気にならんね!」
僕が親父を励ますと、親父は弱々しく笑って頷いた。
『やったことは、例え失敗しても20年後には笑い話にできる。しかしやらなかったことは20年後には後悔するだけだ』
この言葉は「トムソーヤの冒険」の作者であるマーク・トウェインの言葉で、彼の本は世界中の多くの子供たちの冒険心を掻き立て、たくさんの夢を与えた。彼の言うように、若いうち、元気なうちに、自分のやりたいことに挑戦すべきだろう。そうでなければきっと将来後悔してしまうことになる。
人は自らの環境を変えることを恐れ、また周囲からの否定的な意見もあり、なかなか自分のやりたいことを実行に移せない。しかし時間なんてあっという間に過ぎてしまう。いくら寿命が延びたと言っても、年を取ってからでは体力が落ち感性も衰え、チャレンジできないことの方が多くなってしまう。
僕は「死ぬまでにやりたいリスト」と称したノートをいつも持ち歩き、やりたいことが見つかると、即座にそのノートにやりたいことをメモしている。この「死ぬまでにやりたいリスト」の内容は秘密だが、結構、奇抜なものも記されている。(笑)
たった一度の人生だから、やりたいことは全部やって悔やむことなく人生を終えたい。僕もある年齢に達したら「死ぬまでにやりたいノート」を持って、トムソーヤのように冒険に出掛けようと考えている。
そう言えば、親父も昔マーク・トウェインと同じようなことをよく言っていた。
「タラ・レバは言うな!タラ・レバは北海道で言え!!」
タラ・レバとは、あの時○○していたら、あの時○○していれば、のことで、親父はこう表現していた。タラが北海道と関連しているのはわかるけど、レバはなんだろう?今度親父に聞いてみよう。
(しかしマーク・トウェインの言葉と比べると、かなりベタな表現やな~)
written by マックス
今年の3月に個別銘柄の株式投資に見切りをつけて、株式投資の王道を見つけるために再び勉強を始めた。以前は読書による独学だったが、今は東京の投資アドバイザーに会いに出掛けマンツーマンで指導してもらっている。読書での独学とは異なり理解できない箇所を直ぐにアドバイザーに質問できるのでスムーズに内容を理解できる。
僕は株式投資の本を随分と読み漁ったので彼とはスムーズに会話ができ、僕の株式投資の基本知識を彼は評価してくれた。彼の指導により投資のノウハウも徐々に積み上がってきたので、そろそろリトライしようと準備を進めている。
投資アドバイザーの彼は投資を始めて約20年になるそうで、きっかけはアメリカの友人に投資を教えてもらったことで、彼も僕のように紆余曲折しながら多くの先輩から指導を受け、株式投資の王道を学んだそうだ。
その後、彼は自らが決めた投資ルールに則って投資を行っていたが、リーマンショックの時に投資した資金が半分にまで減ってしまい、毎日、顔面蒼白で心穏やかではなかったと言う。しかし彼はその恐怖に負けず、投げ出すことをせず自ら定めた投資ルールを貫き、今では資産を倍に膨らませることができたとそうだ。
彼はアドバイスの中で僕に何度も教えてくれたことがある。
「投資は最初に定めたルールからぶれないことが何よりも大切です。とにかく経済や市場から距離を置き、市場心理に振り回されないことが必要です。投資は投資額×時間なので、時間を味方につけ周りに振り回されず、ルール通りに粛々と実行しなければなりません」
先日、彼から絵ハガキが届いた。その絵ハガキは砂浜に足跡が続いているビジュアルで、そこに一言メッセージが添えられていた。
「ひたすらまっすぐに…」
今後、100年に一度のリーマンショック級の世界経済危機が起こり、僕が心くじけそうになった時のために送ってくれたのだろう。僕はそのハガキを事務所のデスクに飾っている。
投資だけではないが、自らが決めた生き方や目標にぶれることなく平常心で努力し続けることは難しい。常に外野の言動が気になり、その言動によって自らぶれてしまう。
「ひたすらまっすぐに…」
人生の目標達成に於いて何よりも大切なことなのかもしれない。
written by アームストロング