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2017年09月29日

最近、親の老いが加速しているよう思える。両親とも数年前に大病を患ったが、今では何とか健康に暮らしている。母より父のほうが弱っているようで、歳を重ねた父は耳が遠くなり、周りは大きな声で何度も同じことを喋るのが苦痛になり、逆に父も何度も聞き返す事が嫌になったようで、父は少しずつ会話に加わらなくなった。以前より僕は補聴器を勧めていたが、父は頑なに拒んでいた。僕があまりしつこく言うので、最近ようやく父は補聴器を付けるようになり、周りとの会話に加わるようになった。

以前の父は一家の大黒柱で逞しかったが、最近は母のほうが逞しく父は母にいつも叱られている。僕は動けるうちに必要ない物を処分するように言っているが、父はなかなか物を捨てたがらない。先日もこんなやり取りがあった。

「元気で生きとるうちに要らんもんば捨てんと、残った者が大変やろ~が。1日1個で良いけん要らんもんば少しずつ捨てり~よ!」

僕が父にそう言うと、母も同調して、

「そうやろ。お父さんは定年してからスーツ着らんとに、スーツもネクタイも一杯タンスにあるとよ。それにあの山のようにある本はどうするとやろうね~」
「…」

父は黙ってその場を離れた。僕は母にもこう尋ねた。

「お袋もこげん食器が要るとね?1年に1度も使わんもんは捨てんね」
「1年に1度も使わん食器もあるばってん、買ってから1度も使ってないのもあるとよ」
「何やそれ!?」
「昔、お父さんと伊万里の陶器市に行って良か器ばたくさん買うたったい。持って帰ってくるのにも重いけん大変やったとよ。私は何度か使おうとしたばってん、お父さんがもったいないけん、まだ使わんでよかって言うけん閉まとうと」
「あんたたち、頭おかしいっちゃないとね!わざわざ遠くまで高い器ば買いに行って、苦労して持って帰ってきてくさ。使わんで死んでしまうばい!」

母は隣の部屋に居た父に

「お父さんあの伊万里の陶器市で買った器はどうするとね~!」
「…」
「最近、補聴器ばつけとるとに聞こえんふりばするとよ」

元気で少しでも長生きしてくれたらと願っているが、あの大量の物を今のうちに何とかしとかなければ、結局僕が片付けることになる…。

written by ダニエル

2017年09月22日

ウェブのニュースで以前取引のあった得意先の業績が悪いと出ていた。その得意先はアクセサリーの製造販売する企業で、全国のGMSなどにかなりの店を出店している。数年前まで業績は好調で社長の羽振りは良く、僕も数度お酒をお付き合したことがあるが、彼は湯水のように金を使い毎日贅沢三昧だった。またフェラーリを購入したからと、僕を手軽なドライブに誘うこともあった。
彼は飲食店などに複数のビジネスを矢継ぎ早に拡大させ、メディアには彼の派手な暮らしぶりが取り上げられ、まるでセレブの代表のようにもてはやされた。そして彼はド派手な本当の超成金になってしまった。
ド派手な超成金になっても僕は多少の付き合いはあったが、会うたびに彼の顔がまともな人の顔から、まるで悪魔に取り付かれたような醜い顔に変貌していくので、少しずつ距離を置き今では音信不通だ。

業績悪化のニュースに触れて僕は企業業績を調査する会社に問い合わせ、彼の会社の業績の調査報告書を入手した。調査報告書に目を通すと確かに業績が悪く、毎年、売上げは右肩下がりで全く冴えない。少子高齢の波が押し寄せ、更に若い人のファッショントレンドも変わり、その企業を取り巻く環境は大きく変化したようだ。
結局、多角経営で進めた飲食店なども上手くいかず全ての店を閉めたという。また数行の銀行から多額の借り入れがあり、銀行への返済だけで月に3,500万円に上るようで、資産である自社ビルや自宅は全て銀行の根抵当に入っており、融資枠は限界まで達しているという。
ここ数年で彼の時間は逆回転を始めたようで、彼の心中は火の車で鬼の形相で資金繰りに駆け回っている姿を想像してしまった。

石橋を叩き、しっかりと市場分析し堅実な経営を行っていれば、皆から尊敬される社長になっていただろう。大金に目がくらみ悪魔に魂を売ってしまうと、本当に顔が醜くなってしまう。彼がしっかり再起して素敵な仏様のような顔の社長になって欲しいと思う。

written by ジェイク

2017年09月15日

スーツを着なくなって随分となる。
以前は企業戦士のようにスーツに身を纏い仕事をしていたが、勤めていた会社が倒産し独立することになり、収入は減りワイシャツをクリーニングに出すことすら苦しくなった。そこで週末に自ら一週間分のワイシャツのアイロン掛けをやることに。
当分の間、日曜日の午後にひたすらアイロン掛をしていたが、大切な休日の時間をアイロン掛けに費やすより、仕事に関する本やビジネスの本を読み知識を付けることの方が大切だと思い、アイロン掛けを止めてしまった。そして翌日からカジュアルな格好で仕事に出かけることにした。

当初、お得意先や取引先からは随分と驚かれたが、スーツを着ている頃と比べて得意先や取引先との関係に変化はなく、仕事が減るわけでも無かった。今ではカジュアル姿が当たり前になり、逆に冠婚葬祭などでスーツ姿を目撃されると、「初めてスーツ姿を見ました!」と驚かれてしまう。スーツもネクタイも僕には無用の長物になってしまったので、一着の礼服を残して知人や親類に譲ってしまった。しかしカジュアルだからといっても最低限のルールは守り、襟のある服を必ず着ている。
以前、下の人間にスーツを止めてカジュアルな服装で仕事することを勧めると、翌日彼はTシャツに短パンで、しかもサンダルを履いて出社してきた。
「違うだろ~違うだろ~バカ~!!」と僕は怒鳴った。(とある女性議員のよう)

ところで、この歳になり平日にカジュアル姿で街を歩いていると、よく手配りのティッシュやチラシをもらう。先日も事務所近くのハローワークの前を歩いていると人材派遣会社の方なのか求人募集のチラシをもらい、また別の日には分厚い求人雑誌をもらった。どうも傍から見ると無職のプータローに見えるのかもしれない。

アップルの経営者だったスティーブ・ジョブスも常にカジュアルな格好だった。彼も有名になる前は求人募集のチラシをもらっていたのだろうか?

written by サンゴール

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