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2013年05月10日

私に社会人の基本を教えてくれた大企業に勤める先輩が3年ほど前に東京の本社転勤になり、ささやかながら送別会と銘打って二人で会食をした。彼は栄転だったようで非常に喜んでいた。そして私もその先輩に負けないように福岡で頑張ると約束した。

先日その先輩に福岡でばったり会った。出張かと思い近況を聞くと、多くを話したがらず、「この年になるとリストラとか色々あるから、今度ゆっくり飲みながら話すよ」と意気消沈しながらその場から去っていた。本社でトラブルでもあったのだろうか…。東京本社転勤が決まった頃の彼とはまるで別人のようだった。

日本人はひとつの会社に留まり定年退職を迎える人が多い。しかし最近は新聞やテレビの報道でリストラの言葉が頻繁に飛び交う。企業戦士として戦い続けたにもかかわらず、年を重ねる度に徐々に不要な存在となり、リストラ対象の枠に入ってしまう。特に自分の力で生きていくことを身に着けていない大企業のサラリーマンにとっては過酷な時代だ。

以前、僕は勤めていた会社が突然倒産した経験がある。再就職も考えたが、30代だったこともあり当時の仲間と独立した。荒波に揉まれた経験が多少あるので安住の地を失ってもそう怖くはない。また新たな場所を探せばいいだけなのだ。そのためには日頃から心地良い風にいつも当たるのではなく、嵐のような強風や荒波に揉まれる必要がある。そして自分の船をしっかり操れる訓練が必要だ。

先日会った先輩がこれからどのような道を選ぶのかは分からない。しかし今の時期を嵐の時期と考え、前向きに自分の船を再び操り新たな場所を探して欲しい。そして僕が社会人になりたての頃に見た、勇壮な姿の先輩に早く戻って欲しい。

written by ベルハルト

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