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2014年04月18日

数年ぶりに、お取引先である特許事務所の方が弁理士の国家試験に合格した報告で、うちの事務所を訪ねて来てくれた。彼はご年配だったので、てっきり弁理士の資格を持っていると思い込んでいたが、資格を持たずに特許事務所の事務職員として働いていたそうだ。

失礼ではあったが、年齢を尋ねてみると65歳になったと、恥ずかしそうに応えてくれた。更に過去何度、弁理士試験を受けたのか尋ねてみると、彼は「出来が悪いのもので…」と断り、8回も挑戦したことを教えてくれた。
「へー」僕はとにかく感心してしまった。

彼のひとつのことに挑戦し続けるその姿が逞しく、そして羨ましく感じた。年齢を重ねても勝ち取った自分の誇りに充分満足しているようだった。果たして僕が65歳になった時にひとつのことに執着し、それに挑戦し続けることができるだろうか…。

今年は冬季オリンピックがあり、何かとメダルの話題も多かった。何にしてもメダルを獲ることは簡単ではない。茨の坂道を登っていくようなものだろう。
人生の中で自分の目標を明確にし、失敗しても諦めずに挑戦し続け、その目標を達成する。そして自分の目標だったメダルを獲得できれば、何と幸せなことだろう。そのメダルに形が無くても…。

彼はやっと国家試験に合格し65歳で晴れて弁理士になった。彼は国家資格というメダルを胸にこれからも仕事に打ち込んでいくのだろう。まるで青春時代に戻ったよう清々しい気持ちで…。

彼に心から拍手を贈りたい。

written by ゴンザレス

2014年04月11日

胃腸の調子が悪い。
何か悪いものでも食べたかと思いを巡らしてみたが思い当たる節がない。しかし連日、連夜、会食が続いている。あまりに調子が悪いので珍しく病院に出かけた。先生に飲酒と喫煙の有無、症状と最近の食生活など伝え診察して頂いた。

「冷えたビールや氷がたっぷり入った水割りやハイボールなどを大量に飲むと胃腸は壊れるよ!」先生に叱られた。

胃に入った飲食物は一旦、体温まで温度を調整され、それから吸収するそうだ。胃は温かいものを冷まし体温まで温度調整することが得意で、逆に冷たいものを体温まで上げることが苦手なのだそうだ。そのため冷たいものの吸収には時間がかかり、冷たい物を大量に摂ると胃腸にはかなりの負担がかかる。
だからお湯割りや熱燗などを飲むと、直ぐに体温まで下げ吸収できるため酔いの回りが早く、逆に氷の入った冷たいビールや水割りなど酔い回りが遅いそうだ。そのため冷たいものを飲むと二日酔いになりやすい。先生からは温かいお湯割りや熱燗を勧められた。

病院を出て、ふと思い出す顔が合った。
大切な取引先のTさん。酒豪でお酒を飲むと必ず一気飲みを周りに進め、自らも一気飲みをする方だ。そう言えばここのところTさんと夜をお供することが多いな…。彼の胃腸は大丈夫なのだろうか?

病院に行った日の夜もTさんと飲む席があった。胃腸を悪くしていることや、胃腸とアルコールの関係を説明し「今日は熱燗にしましょう」と告げ、その日は熱燗を飲むことになった。その夜、彼は珍しく記憶を失い、翌日は酷い二日酔いだった。

Tさんの胃腸はどうなっているんだろう…

written by マックス

2014年04月04日

年のせいか父は随分穏やかになった。
私が子供の頃、父は随分と厳しかった。しかし厳しいのか、子供をいじめていたのか悩んでしまう記憶がある。

小学校3年生の新学期を迎えた春の頃だったか、いつものように家族で朝食を取っていた。食卓では僕の隣に父の席があった。
その日の朝食は昨日の夕飯のカレーライスの残りだった。学校に遅刻しないように大好きなカレーライスを僕は頬張るように食べていた。

3口ほどカレーライスを頬張った時、僕は突然父に頭を勢いよくどつかれた。僕はカレーライスの入った皿に顔から突っ込んだ。カレーライスからは湯気が上がっており、かなり熱かった。あまりの熱さに僕は「うわー」と叫びながら飛び上がった。一体何が起こったのか分からなかった。

「何てことするの!」僕の向かいに座っていた母が父に罵声を浴びせた。
その時、父はカレー塗れになった僕を見て笑いながらこう言った。
「男はどんな時も隙があったらいかん!バカたれが!!男は飯を食っている時も寝ている時も、いつ何時も隙があったらいかん!」
「何、バカなこと言いよると!」母が父に向かって更に罵声を浴びせ、僕にティッシュを渡してくれた。
「もう、何しよーと」僕は父にそう言いながら、カレーで汚れた顔をティッシュで拭いた。

春にカレーを食べると、この記憶が蘇る…あれも父の教育のひとつだったのだろうか…。
年齢も進み少し弱った父。あれ以来、いつか仕返しをしてやろうとチャンスを狙っている。

written by ダニエル

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