父は厳しい人間で共働きだったこともあるが、掃除、洗濯、料理と、自ら家事をやっていた。また父は自ら祖母の庭に蔵を建て、家の塀も造る大工仕事までこなしていた。子供の時分、僕は当然のように父に作業を手伝わされた。
「何でも一人でできるようにならんといかん!若いうちは苦労を買ってでもしろ!」
父からはいつもそう言い聞かされた。
僕は若い頃、この言葉を割りと真に受けて何でもやらされた面があり、歳を重ねると、若い頃に父に鍛えられたことで生きる基本が身に付いたように思う。
今の時代は集団から個人に大きくシフトしている。マスメディアは衰退し、逆にインターネットなどが台頭しており、自ら興味のある情報を入手する時代だ。更に日本では人口が減っており一番小さい集団の家族も核家族化が進み、世帯数は増えている。要するに単身層が増えているわけだ。日本はこれから更に少子高齢化が進み、経済は今よりも悪化していくだろう。そこにAIやロボットの進化により人間の仕事を奪って行く。
また日本は島国なので他民族に侵略された歴史が殆ど無く、危機感を感じない人が多い。しかも日本人は未だに先の大戦に負けたことで、日本人としての誇りを取り戻せていない。そのため真の独立ができていないように思う。
世界の国々が右傾化し保守派が台頭しており、今後、世界のあちらこちらで紛争が頻発する恐れがある。骨抜きにされた日本は紛争などに巻き込まれるとどう向き合うのだろうか?
これからの時代を生きていくうえで、自立することが非常に大切だ。自らの努力で知識や人脈を増やし、自分の立ち位置をしっかり考え自主性を持たなければいけない。そして父が言っていたように、何でも一人でできるようにならなければならい。きっと誰かが助けてくれるだろうなどと考えてはいけないだろう。この考えを若いうちに頭に叩きこみ、苦労し行動することで強く逞しく生きることが身に付いてくる。
歳をとってから苦労することは、体も心も萎えてくる。やはり若いうちは買ってでも苦労をしなければならない。
written by ダニエル