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白のブリーフを履いたおじさん
2015年12月11日

ある得意先の方に誘われて久しぶりに夜の中洲に出かけた。ボーナスが出始めたようで中洲は混んでおり、多くの人が酔っ払って高笑いしながら歓楽街を歩いている。

随分昔の話だが、社会人になった年の年末、勤め先の先輩達に中洲に飲みに連れて行ってもらい、そこで奇妙なものを目にした。客で溢れかえる夜の中洲を白のブリーフ一枚で60歳手前のおじさんが千鳥足でヨロヨロと歩いている。足元を見ると靴も履いておらず、僕はあっけにとられその姿を眼で追った。そのおじさんは七三分けで黒縁の眼鏡を掛け、公務員風だった。僕があっけにとられていると一緒にいた先輩がこう言った。

「ぼったくりの店ではしゃいで、持ち合わせが無かったから身包み剥がされたんだろう」
「えっ…身包みを剥がされる?」

そんなことは映画や漫画の世界だけだと思っていたが、現実にあることを僕は知り驚いた。あのおじさんは店でどれだけはしゃぎ、どれくらい請求されたのだろう…。あまりにも強烈だったので今でも脳裏にしっかり焼き付いている。
無事に自宅に辿り着いたのだろうか?自宅に帰って家族の反応はどうだったのだろうか?

僕は一度も客引きに付いて行ったことは無いし、ぼったくりの店に入ったことも無い。今でも歓楽街では客引きの若く軽い男や、ホステスなどが声を掛けている。客引きが多くいるということは、彼らに捕まって怪しい店に連れて行かれる客もたくさんいるのだろう。最近ではやたらと「マッサージいかがですか~」と、片言の日本語で呼びかける中国人風の女性を多く見かける。一体どんなマッサージをして費用はいくらかかるのだろう…。
今日は年末が近づく金曜日だ。今夜もどこかで身包み剥がされている人がいるだろう。

皆さんも調子に乗って酒に酔って身包みを剥がされないように!

written by ゴンザレス


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