景気回復によるものか最新の有効求人倍率は1.23倍と高い水準だ。一方、正社員の有効求人倍率は0.76倍とシビアな数字になっており、日本の労働者全体の約3分の1が非正規雇用者だそうだ。多くの企業は正社員を減らし人件費の固定化を抑制している。非正規雇用は必要な時に雇用をし、逆に必要が無い時はカットできるので企業にとっては都合がいい。
非正規雇用者は所得が少なく将来も見通せないので節約志向が強い。これから高齢者が増え消費が薄くなっていくのに労働者まで消費に消極的となると、日本の経済に悪影響を及ぼしてしまう。政府は1億総活躍と訳の分からないスローガンを掲げたが、このままでは日本は夢も希望もない国になってしまうだろう。
僕らが就職する頃は派遣社員と言う言葉を聞いたことはなかった。バブルの頃だったこともあり、ほぼ100%就職できていたように記憶している。
当時、僕は大学卒業後、就職する気は無く独立しようと考えていた。卒業式が近づく中、大学の就職課から呼び出され、進路が決まっていないのは君だけだと叱られた。友人からの説得もあり、卒業式直前に興味があった広告業界への就職活動を始めた。当然、卒業するその年の春の就職活動は当の昔に終わっており、就職課にある資料を基に多くの広告会社に採用状況の連絡を取った。
「翌年の募集はまだ行っていません。えっ、今春?もうとっくに採用は終わっています!」
当然の返事が返ってくる。諦めずに広告会社にかたっぱしから連絡をしていると、中途採用を行う会社があり、電話口で先方の方からうちの中途採用試験に受けてみては?と言われ中途採用試験に挑むことに。
試験は筆記試験と面接があり15名ほどの応募者が受験した。僕は筆記試験が苦手だったので、気合を入れて面接に挑んだ。ちなみに僕にとっては初めての面接だった(笑)
その結果、2名が採用され、その中に何故か僕がいた。
僕は4月の就職に間に合い晴れて社会人になれた。
もし今の時代であれば僕は間違えなく非正規社員になっているだろう。今の時代、一度レールを踏み外すと元のレールに戻ることができない時代に感じる。あの頃が全て良かったとは思わないが、当時は社員を大切に育てる日本型経営がしっかり根付いており、情熱のある人には同じようにチャンスがあったように感じられる。
「非正規雇用」この言葉も何とかならないのだろうか?まるで正規品ではない、まがい物のように感じる言葉だ。
written by マックス