上場企業の家具店が経営をめぐって親子で骨肉の争いを繰り広げており、お互い株主総会で役員を引き摺り下ろそうと躍起になっている。挙句の果てには株式配当の増配を発表し株主の気を引いている。血の繋がった間柄なのだから仲良く知恵を絞り、経営に集中し、社員や多くのステークホルダーの利益を追求するべきではないのだろうか。
父である会長は旧態依然の高級路線での販売戦略を唱え、逆に娘の社長はカジュアル路線での販売戦略を推し進めようとしている。しかしこの家具店は都市の一等地に店舗を構えているので、カジュアル店に移行しても家賃などの高い固定費をペイすることができるのだろうか。いずれにしてもこの家具店はどちらに舵を切るのだろうか。
そもそも家具を取り巻く環境は時代と共に大きく変化してしまった。最近、結婚するからと多くの家具を購入したなど聞かないし、今の住居は食器棚やクローゼットなど多くの収納スペースが既に備え付けられている。また郊外にはイケアやニトリなどの低価格の大型家具店が軒を構えているし、通信販売などでも容易に安価な家具を購入することができる。
どちらにしてもこの家具店の販売戦略には疑問が残る。高級路線か、カジュアル路線かを考える前に、もっと根本から見直さないとお先真っ暗だ。
家具以外の商品を展開することや、別ブランドの店を立ち上げることを検討するべきだろう。そして「無印良品」や「コンランショップ」などの他店を研究するべきだ。「無印良品」は簡単な収納用品は売っているし、食品から衣類まで生活のあらゆるものがここで揃う。逆に「コンランショップ」は雑貨などの比較的高級なセレクトショップだ。
家具店は在庫を多く持たないといけないし、商品の回転がとにかく悪い。(その分利幅があるのだが)この企業は時代の変化に全くついていけてない。
家具店の内乱で火が上がるとよく燃えるだろう…。
written by 彦之丞