あまりに暑いので涼しいことを考えようと頭を巡らしてみた。
以前、サハリンで資源開発が進んでいるから視察に行こうと、親しい取引先の方に誘われ真冬のサハリンへ行ったことがある。サハリンでの初日の出来事。
サハリン市内のホテルに到着した時間が夜遅かったので、ホテル内のレストランで直ぐに夕飯を取ることになった。ロシアでは度数の高いウォッカがお酒の定番。乾杯のビールの後はウォッカを飲むことに。(ちなみにロシア料理は非常に美味しく口に合った)
ウォッカはチビチビ飲む酒ではなく、冷えたウォッカを小さなショットグラスに注ぎ、一気に胃袋に流し込むものである。飲んだ瞬間胃袋が熱くなる。1時間半程経ってレストランが閉店する時間になったので、飲み足りない気持ちを抑え明日に備えて各自部屋に戻り休むことになった。
しかし大の酒好きの取引先の方が、レストランでウォッカのボトルを2本買ってきたので、その方の部屋で飲むことに。5人のメンバーはウォッカで大いに盛り上がった。そこに部屋の電話が鳴った。電話はフロントからで、他の部屋のお客様から騒がしいと苦情があったので、静かにしてくれとのことだった。
「そもそもここサハリンは日本の領土だったんだ!畜生!ロシア人め!」
「日本人の意地を見せてやれ!」(何の意地?)
結局ホテルを出て屋外で飲むことになり、各自部屋に戻りグラスを片手にホテルを飛び出しホテル横の空き地へ。その空き地にあるコンクリートの階段に腰を下ろしウォッカを飲み直すことに。外気はマイナス20度。地面は凍っており真っ暗な夜空からはきめ細かいパウダースノーが降っていた。しかしウォッカをたらふく飲んでいるので体は温い。そして誰かが大声で「サハリンの雪見酒もいいなー」と言い出す始末。
ボトルが残り僅かになった頃、メンバーの一人が寒さで震えだした。彼だけパジャマ姿だった。他のメンバーはグラスを部屋に取りに戻った時に、ダウンジャケットなどをしっかり着込んで出てきていた。そして体を温めるためにパジャマ姿のメンバーが最後のウォッカを一気に飲み干し、ホテルに戻って寝ることになった。ホテルに戻る道でメンバーの一人が滑って派手に転んだ。(次の日、腕が大きく腫れていた…)
部屋に戻ると午前3時になっていた。結局一人一本ずつウォッカのボトルを開けたことになる。
翌朝、サハリン市内の観光に出かける集合時間にメンバー2人の姿は無かった…。
思い出すだけで体が余計に熱くなった…。
written by マックス