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記憶
2013年05月31日

脳の片隅に追いやられている記憶がふとしたことで目を覚ますことがある。梅雨空を見上げた時に、苦しかった頃の記憶が目を覚ました。その記憶は梅雨の時期のものではなかったが苦い記憶だったので、どんよりとした曇り空を見て目を覚ましたのだろう。

記憶を呼び覚ますものは視覚からだけではなく、聴覚や嗅覚、更には味覚、触覚と五感の全ての感覚からの情報で呼び覚ますことができる。ある音楽を聴くと必ず思い出す風景がある。町ですれ違った女性の髪から流れきたシャンプーの香りから、大学の教室を思い出したこともある。そしてジェリービーンズを食べると必ず思い出す記憶がある…。そして、ひんやりしたタオルケットを触った瞬間に、子供の頃にエアコンの利いた部屋を思い出す。当時は今のようにエアコンが普及しておらず、我が家に初めてきたクーラーは家族で寝ていた部屋だけに設置されていた。

先日、行きつけの床屋で顔を剃ってもらっているときチクリとした。剃刀がほんの少し僕の顔を傷つけた。たまにある床屋さんのちょっとした失敗。そのことである記憶が目を覚ました。子供の頃、ピアノの発表会の前夜にこっそり父の真似をしてT字の剃刀で鼻の下の産毛を剃ったことがある。初めてのことだったので見様見真似で剃刀を顔で滑らせた。結局、翌日の発表会には鼻の下に絆創膏を貼って出ることになった。

広告の世界は記憶されることを目的に視覚と聴覚の2つの感覚に情報を発信している。しかし3つの感覚がまだ残されており、この領域での広告手法は未だ確立されていない。
ハッとした!そう言えば犬は良く鼻を使って匂っている!犬を観察してアイデアを絞ってみよう。そう思った。

written by ダニエル


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