撮影で仙台に出かけた。風は強かったが天気も良くロケのコンディションは良好。翌日の撮影本番に向けてロケ地を選ぶためロケハンを開始した。ロケの候補地は松島だったのでそこを中心にロケ地を探していたが、納得できる場所が見つからず松島から少し足を伸ばしてみた。
突然、広大な更地が広がり遠くに葉が抜け落ちた松が数本立っている。周りを見渡すと海水によってできたものだろうか、まるで湿原地のように所々に水面が広がり、その傍に壁が抜けた家が複数見える。そこは津波に襲われた土地だった。2年前にテレビなどで生々しく報道されていた頃と何も変わらないように感じられた。
『TSUNAMI』世界共通語になった日本語のひとつだ。この言葉が世界で使われるようになるほど過去に何度も日本を津波が襲った。過去に幾度も津波を体験しているにも関わらず今回の震災で多くの犠牲者が出た。過去の経験から防ぎようはなかったのだろうか。「震災は忘れた頃にやってくる」そう言われるが、この未曾有の震災を人はいずれまた忘れてしまうだろうか…。
それぞれの人間が過去に何らかの辛い経験を持っている。僕も震災で受けた辛い経験とは比較にならないが、辛く苦い経験は多少持っている。しかしその辛い経験は長い年月を経て徐々に浄化されていく。浄化することで人はそこに留まらず未来を生きていけるのかもしれない。しかし心のどこかにしっかりと記憶し未来を生きていくための教訓にしないと、また辛い経験を繰り返してしまうことになる。
翌日、無事にロケが終了し帰路についた。帰りの飛行機は窓側だったので離陸時から外を眺めていた。飛行機が高度を上げると遠くに被災した大地が広がっていた。また笑顔溢れる土地に戻って欲しいと願っている。そして、いずれまた大震災が日本を襲ったとしても犠牲者がひとりも出ないことを祈っている。
written by マックス