「暑さ寒さも彼岸まで」とよく言うが、春分の日を境に気温は上昇し急に春が訪れた。例年、お彼岸には墓参りに出掛けていたが、今週、肋骨を折って入院していた高齢のお袋が退院し、退院したばかりのお袋を連れての墓参りは難しく、逆にお袋一人を自宅に残すことも心配なので墓参りは見送ることに。
お袋が肋骨を折り入院した当初は、このままボケてしまうか寝たきりになるのではないかと心配していたが、しぶといお袋は無事に退院することができた。お袋の入院していた病院は未だ新型コロナへの感染対策が厳しく、面会は事前予約制で病院1階にある面会場所で20分と制限さていた。
入院当初、お袋は歩くことすらできず面会に出掛けると、お袋は車椅子に乗り看護婦さんに連れられてくる。お袋に入院生活を尋ねると、1日1時間程度のリハビリを受け、その後は時間を持て余しベッドで横になっているという。さらに病院食が口に合わないとこぼすので、気分転換にもなるだろうとお袋を車椅子に乗せ病院近くのレストランに外出して良いか看護婦さんに尋ねると、主治医から外出許可が出ていないので無理だと言われた。そこで退院日はお袋の好物のカニを用意することや、今月末のお袋の誕生日までに退院してご馳走を食べに行こうとお袋に約束した。
その2日後、看護婦さんから連絡があった。
「息子さんですか?」
「はい。何かありました?」
「お母さんの退院日について連絡しました」
「えっ、もう退院ですか?先日、外出許可は出てないと言われたんですが…」
「お母さん、突然動けるようになったんです。痛みも急になくなり、レントゲン検査も良好だったので、先生は退院して問題ないと言っています」
「えっ?急に動けるようになったんですか?」
「はい。急に動けるようになったんです…」
今週、車椅子から歩行機へと移りお袋は無事に退院することができた。退院した日の夕食は約束通りお袋の好物のカニ鍋で退院を祝い、お袋は大喜びだった。来週のお袋の誕生日は馴染みの和食店を予約している。きっとお袋は好物やご馳走につられて急回復したのではないだろうか…。
「本当にお袋は単純で卑しいな~。まっ、無事に退院できたから良かったけど…」