いよいよパリでオリンピックが開幕した。日本とパリの時差は7時間あり、多くの競技が日本の夕方から深夜に行われるので寝不足の人も多いだろう。僕も若ければ深夜まで競技をライブで見るが、最近は眠気に勝てず、翌朝に競技結果を知り録画された放送を見るのでどこか物足りない。
ところで英語の「ship(シップ)」(船)と、「リーダーシップ」などに使われる「○○ship(シップ)」がある。この「○○ship(シップ)」は「状態」、「身分」、「能力」、「集団」という意味合があり、「パートナーシップ」、「フレンドシップ」、「スポーツマンシップ」などに使われる。中でも「スポーツマンシップ」は「我々はスポーツマンシップにのっとり…」と、スポーツ大会の選手宣誓でよく使われ、馴染み深い言葉だ。この「スポーツマンシップ」とは具体的にどのような意味があるのだろうか。
「sportsman」は元来スポーツを行う「信頼される人物」に対する称号として使われていた言葉で、スポーツの構造を深く理解しスポーツを愉しむことができ、自らを律し他人からも信頼される人物を指すそうだ。具体的にはスポーツに全力で取り組み公明正大であること、競技の対戦相手や審判などへの敬意と尊敬を忘れないことが挙げられ、良い試合を行うための基本的精神ともいえる。また試合に勝利すれば良いのではなく、試合を終えてもお互いを気遣い称え合うことも含まれる。そのため「スポーツマンシップ」は全てのスポーツ選手が身につけておかなければならないものだ。
先日、オリンピック女子柔道の試合をテレビで見ていた。東京オリンピックで金メダルに輝いた女性選手が出場しており、今大会も金メダルが期待されているひとりだ。彼女は1回戦、一本勝ちで勝利し順調に2回戦に進んだが、2回戦でウズベキスタンの選手との試合で一本負けになった。試合が終わると、彼女は顔をゆがめてうずくまりコーチに抱きかかえられるように会場を後にし、あろうことか、コーチに抱き付いたまま大声で泣き崩れた。まるで家族が事故死でもしたかのように、自分の感情をコントロールできず取り乱していた。
逆に試合に勝ったウズベキスタンの選手は、負けた相手に礼を重んじ喜ぶ表情を見せず会場を去った。その後、ウズベキスタンの選手は見事、金メダルに輝き表彰台に立った。
日本の柔道は武士道にも通じる日本を代表する武道だ。またオリンピックは世界のスポーツの祭典といわれ「スポーツマンシップ」溢れる大会でなければならない。この日本女子選手は「スポーツマンシップ」をしっかり学ぶ必要があるのではないだろうか。