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春の嵐の空の下で
2013年04月13日

天気予報には「春の嵐、強風に注意!」そう発表されており、また前日の飛行機に欠航が相次いだこともあり、今日の飛行を気にしながら空港へ向かった。しかし飛行機は予定通りに離陸。多少揺れを感じながらも雲を抜け更に高度を上げ青空の中で安定飛行へ。

しばらく経つといつもの機長のアナウンスが始まった。搭乗のお礼の後、着陸態勢に入った頃から発達した低気圧による影響で飛行機が大きく揺れる恐れがあると伝えられた。やがてシートベルトのサインが点灯し着陸態勢となり強い風の影響で機体が少しずつ揺れ始めた。機内前方のスクリーンに羽田空港が見え最終着陸態勢に入ると、機体は大きく揺れながら強風に流され左右に傾きながらも何とかバランスを水平に保っている。

狭いコックピットの計器に囲まれた中で頼る人は誰もいなく、身に付けた知識と経験を頼りに機長は強風で普段より幅が小さく感じる滑走路をしっかり見つめ、手には多少汗が滲みながらもしっかり操縦桿を握り、無事に搭乗客を目的地に運ぶために気持ちを集中させ機体をコントロールしているはず。

そして滑走路がみるみる大きくなり着陸寸前にも強い横風を受け片輪ずつ着陸、二度ほど軽くバウンドしながら無事に全てのタイヤを滑走路に下ろし、そして逆噴射。スピードを一気に落とし徐行運転で到着ゲートへ。機長は厳しい環境で強いストレスの中においても搭乗客のそれぞれの想いを胸に目的地まで無事に運びんでくれた。

世の中にはたくさんの仕事があり、あらゆる状況の中で色んな業務が遂行されている。例えコンディションの悪い状況を必死に切り抜けても、直接お客さんからお礼の声を聞くことがない仕事も多くある。しかし使命感に燃え今まで身につけた知識と経験を最大限に生かししっかりとやり遂げ、自分で自分を誇れる仕事を黙々とこなしていく。そして自分だけの小さな勲章が増えていく。パイロットという職業もお客さんからお礼の言葉を直接聞くことが少ない仕事だろう。きっと強い使命感と責任感を自ら維持して黙々と業務を遂行しているはず。まさに剛毅木訥。

羽田空港に降り立った春の嵐の空の下で、ひっそりと感謝。

written by 鈴奴(すずやっこ)


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