自宅のポストを開けると、マンションの販売チラシが連日のように入っている。ベランダから外を見渡すと、巨大なクレーンが並びマンションの建設ラッシュのようだ。
「そう言えば、家を買ったことがないな~」
若い頃、マイホームに憧れマンションを購入しようとモデルルームに出掛けたが、家人から大きな買物をした後は事故や病気など悪いことが起きると言われ、結局、購入しなかった。その後も僕はマイホームを購入することはなく、今までに支払った家賃を合わせると、新築マンションを購入し既に完済していることになる。
「一度くらいマイホームを持ちたかったな~」
ところで、現在、日本にあるマンションの総戸数は約685.9万戸で、全世帯の1割強がマンションに住んでいる。特に都市部にマンションは集中し、築40年以上の老朽化したマンションも増加している。国土交通省の調査によると、築40年を超えるマンションは2021年末で116万戸あり、10年後には249万戸が見込まれる。築40年を超えるマンションでは70歳を超える世帯主の割合が48%に上り、所有者の所在が不明など空室は10%にも上る。そして老朽化したマンションには大きな問題がある。
まず老朽化したマンションでは外壁や設備の劣化や不具合により大規模な修繕が必要になる。修繕は戸建主宅でも必要だが、マンションは複数の住民で修繕を判断することになり、簡単には纏まらないようだ。それに資材や工費、管理人の人件費等の上昇により毎月の管理費や修繕費で将来補うことができず、所有者の負担が増加することが予想される。また現在の建築基準法の耐震基準は1981年に改正されたもので、それ以前に建てられたマンションは震度5弱までの地震にしか耐えることができず、大きな地震が発生すると倒壊の恐れもある。さらに老朽化したマンションでは空室が増え空室率が30%を超えると、修繕費や管理費が不足して管理組合が機能せず、マンションの廃墟化が進んでしまう。
そしてマンションの資産価値は立地条件によっては価値を下げない物件もあるが、築10年前後を境に建物の価値は3分の2程度まで落ち込んでしまい、築30年以上経過するマンションでは、価値を保つことは難しいという。
マンションの建設ラッシュが続き不動産の高騰でマンション価格も上昇している。高級マンションやタワーマンションに憧れる人も多いが、マンションには多くの問題が潜んでいる。今、思うとマンションを購入しなくて良かったのかもしれない。
高齢になったら老人ホームに入ろう!