最近は夜、エアコンを入れずに眠る日が増え、朝にベランダに出ると秋の空気を感じる。来週は秋のお彼岸なので日中の暑さもそろそろ和らぐだろう。しかし今年の夏は僕が生きてきて最も暑い夏で、今まで以上に僕は夏が嫌いになった。
ところで、今週、以前勤めていた会社の後輩が東京から福岡に遊びに来たので、久しぶりに会食することに。その後輩は以前勤めていた会社の得意先のご息女で、高校卒業後はろくに就職もせず遊び惚けていたようで、娘を心配する得意先から娘を雇って欲しいと申し入れがあり、彼女は入社することに。そして彼女は営業部に配属され僕は彼女の教育係になる羽目に。
彼女が挨拶で初めて来社した時、僕は彼女の姿を見て目が点になった。彼女はミッキーマウスのTシャツにかなり短いホットパンツ、そしてキャップを斜めに被って事務所にやって来た。そしてぶりっ子のように語尾を伸ばし挨拶をする。
「こんちは~。○○で~す。どうぞよろしくで~す!」
「…」
僕も上司も目を点にして挨拶を交わし、上司は僕が教育係だと紹介した。彼女の初出社の日が決まり彼女と別れ際、僕はスーツで出勤するよう彼女に伝えた。初出社の日、彼女は親のスーツを借りて着て来たのか、だぼだぼのスーツ姿だった。
彼女のデスクは僕の隣で手取り足取り彼女に仕事の基本を教えるが、彼女はオオカミに育てられたのか、漢字は読めずボキャブラリーも乏しく、彼女の業務日報は平仮名とカナカナの丸い文字が並んだ。また彼女は遅刻の常習犯で、朝、彼女が出社しないと僕は彼女に電話を掛けて起こした。遅刻が何度も続くので、当時の僕の上司は彼女に激怒することもしばしば。その度に僕は彼女と一緒に上司に頭を下げた。
僕はまるで学校の先生にでもなったかのように一般常識や広告の基礎知識を彼女に指導した。そんな彼女にも良い面があった。彼女は飛び抜けて明るく度胸だけはあったので、付け焼刃の知識だったが思い切ってひとりで営業に行かせると、不思議と新規客を獲得して戻って来る。そして数年後には彼女にも後輩ができ、彼女は指導する立場に育った。
彼女とは数年共に働き、その後、彼女は以前より興味があった音楽プロダクションに転職し、今では東京で保険会社のフィナンシャルアドバイザーとして活躍しているという。会食中に保険や金融について彼女に色々尋ねたが、やはり彼女はその業界の知識も付け焼刃の知識だった…。それでもしっかり稼いでいるというので良しとするか(笑)
明るさと度胸があれば何とかなるのだろう。