例年、福岡では「山笠」のフィナーレを飾る「追い山」が行われる頃に梅雨明けした。先週、金曜日の早朝に「追い山」が行われ、天気図を見ると梅雨前線は日本を北上していたので梅雨明けしたと判断し、汗だくになりながら汚れていた愛車を洗車した。愛車は輝きを取り戻し僕は満足していたが、信じられないことに梅雨前線は日本を南下して来て福岡は梅雨空に戻り今週も梅雨明けしていない。「折角、ワックスまで掛けたのに…」
ところで太平洋を漂流していた小型船に乗るオーストラリア人の男性と愛犬がメキシコのマグロ漁船によって2カ月ぶりに救助された。彼は4月にメキシコ沿岸を小型船(双胴船)で出発し、メキシコからフランス領のポリネシアを目指して約6,000キロを航海していた。しかし出発して数週間後に嵐に巻き込まれ船は破損し通信機器も壊れてしまい、彼と愛犬は太平洋に取り残され漂流することになった。
幸いにも彼の船には釣り道具など生存に必要最低限の道具が備わっており、彼と愛犬は漂流している間、魚を釣り捕らえた魚を生で食べ飢えを凌いだという。また偶然にも太平洋の暖かいエリアを漂流していたため雨には恵まれ飲み水を確保でき、昼間は脱水症状を起こさないように、愛犬とボートの天蓋の下で直射日光を避けて過ごしたという。
しかし破損した船で電力も無く通信機器は故障し、救難信号すら発信することができず広い太平洋で通りがかりの船や航空機に偶然、発見してもらうことを信じて漂流することはまさに焼け石に水だ。きっと昼間は陸地も見えない果てしなく続く地平線を眺め孤独を感じ、夜は底なし沼のような真っ暗な海面で恐怖を感じただろう。
オーストラリア人は単独で航海に挑んだのだから航海に必要な知識とスキルを持っていたはずだが、愛犬が一緒ではなく彼ひとりで漂流していれば、孤独に耐えきれず絶望し希望を見出すことはできなかっただろう。彼が生存できた背景には愛犬の存在が大きく、彼は愛犬に寄り添い癒してもらい希望を維持することができたのではないだろうか。もし漂流中に彼と愛犬のどちらか欠けていれば、どちらも生還することはできなかったはずだ。
救助され、彼と愛犬の絆は以前より強いものになっているだろう。
僕もこれからは愛犬Q次郎といつも一緒に出掛けよう。