「えっ、歯を抜くんですか⁉」
今年のお盆明けに奥歯が痛くなり歯医者に出掛け診察してもらうと、食いしばりと歯周病で悪くなった奥歯を抜歯することになるかもしれないと先生に言われ、約1カ月半その歯医者で治療を受けた。先生はできるだけ抜歯しなくて済むように今後3か月に1度は口の中のメンテナンスを行うように勧められた。僕は3ヶ月に1度のメンテナンスだけで抜歯せずに根本治癒できるのか疑問を感じた。
そこでネットで福岡の腕の良い歯医者を調べると、九州大学歯学部を卒業後、アメリカに留学し米国歯周病外科専門医で再生治療を行っていた歯医者を見つけ、セカンドオピニオンを受けるためその歯医者に出掛け先生に見解を聞くことに。
「先生、今通っている歯医者では奥歯を抜歯することになるかもしれないと言われているんですが?」
先生はレントゲンの画像を見ながらこう説明する。
「確かに左の奥歯が良くないですね。歯を支える歯茎と骨が擦り減っています。食いしばりもあるのでしょうが、喫煙による歯周病でしょう」
「タバコですか…。先生のホームページには歯茎とその下の骨は再生ができると書いていましたが、再生できるんですか?」
「歯は再生できませんが、歯茎と骨は再生できます。いずれにしても歯石が歯茎の深い箇所に付着しているので、歯茎の奥までしっかりお掃除をしないといけないですね」
「先日までかかりつけの歯医者で歯石を取ってもらったんですが…」
「歯の表面の歯石は除去できていますが、歯茎の奥にある歯石は取り除かれていませんね」
それから毎週その歯医者に出掛け歯茎の奥の歯石除去を行った。歯と歯茎の間の奥にある歯石は歯茎に麻酔をし、スケーラーと呼ばれる先端がフック状の細長いスティックを歯と歯茎の間から奥まで入れ歯石を取り除く。歯石を取り除いた後にうがいをすると、口から吐き出す水は血で真っ赤に染まっていた。1ヶ月掛け全ての歯茎の奥に付着していた歯石の除去を終え、2週間後に再度レントゲン検査で状態を確認し、今後の処置を判断することになった。
次のレントゲン検査で歯茎の深い箇所に歯石が除去できていなければ、歯茎を切開し歯の根っこに付着している歯石を取り除くことになると言う。
「えっ、歯茎を切開して歯石を取るんですか?」
恐る恐る先生に聞くと、簡単な手術で痛みもないと言う。先生の話を聞いているだけで背筋がゾッとした。
歯医者に通い始めた頃は夏だったが、季節はすっかり秋に移った。いつまで歯医者に通うことになるのだろうか。果たして僕は抜歯せずに済むのだろうか。
「タバコを止めんといかんな…」