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忘れた頃にやってくる
2022年05月27日

今週の日曜日、NHKの「のど自慢」を見ながら昼食を食べていると、突然、テレビから大きな地震警報が流れ、同時に「強い揺れに備えて下さい」と音声が流れた。震源地は福島近海で震度5弱を観測する地震だった。「のど自慢」は数人が歌ったところで打ち切られ、地震の緊急番組に切り替わった。この地震で幸いにも大きな被害はなく安心したが、地震警報の音は何度聞いても驚いてしまう。

2005年3月に起きた震度6弱の福岡西方沖地震の発生時、僕は福岡の都市高速を車で走っており、博多湾に架かる全長350メートル、高さ60メートルの荒津大橋を通過していた。その時、突然、荒津大橋は揺れ始め前方を走る車が順に停止し立往生で渋滞になった。そしてまるで映画のシーンのように荒津大橋は大きく左右にうねりだした。僕は一瞬、何が起こったのか理解できなかったが、直ぐに地震だと気付いた。後から知ったが、荒津大橋は地震による倒壊を避けるため地震のエネルギーを逃がすように大きく左右に揺れるように設計されている。
荒津大橋が大きく揺れている間、僕は橋が倒壊し車ごと海に落下してしまうのではないかと考え、直ぐに脱出できるように車の窓を全て開けシートベルトを確認した。そしてラジオを付けると地震の大きさや震源地を説明していた。その後、地震はひとまず収まったが橋の揺れは直ぐには収まらなかった。
やっと橋の揺れが収まり前方の車は順次走り出したが、僕の前の車は女性が運転しており、地震で動揺しているようで車は動かない。ラジオから余震の注意が促されていたので、焦った僕はクラクションを鳴らし前の車を急かした。ようやく前方の車は走り始め、僕もその後に続き都市高速を降りた。
都市高速を降り福岡の中心地である天神に出ると、複数のオフィスビルの窓ガラスが割れ歩道に散乱している。また飲食店の集まる大名エリアでは電柱が倒れ倒壊した店もあり、警察官が道路を通行止めにしていた。あの時、僕は初めて地震の怖さを知った。

昨年あたりから、日本はもちろん世界中の至るところで地震や火山噴火が発生し、地殻変動が活発になっている。東日本大震災から10年が過ぎ、そろそろ大きな地震が起きてもおかしくない。もし南海トラフ地震のような大地震が起きればこの国の多くの都市は津波に飲み込まれてしまうことになる。

夏目漱石の小説のモデルになった物理学者の寺田寅彦が言った。
「天災は忘れた頃にやって来る」


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