愛犬Q次郎はロングヘアーのミニチュアダックスで、毛をカットしないと全身の毛は長く伸びてしまう。夏場はQ次郎が熱くないようにペットショップで全身の毛を5分刈りに短くカットしてもらうが、冬場は寒いようなのでカットをせず毛を伸ばしている。先週末、ようやく春めいてきたので毛が伸びたQ次郎の毛を僕がカットしてやることに。
Q次郎は随分と毛が伸び体はモコモコとしており両耳の周りには毛玉もできていた。早速、Q次郎をベランダにあるテーブルの上に乗せ犬用のバリカンでカットを始めた。Q次郎は毛をカットされることが苦手で抵抗するため好物のジャーキーを少しずつ与え宥めながら毛をカットするが、その間、僕は無理な姿勢で腰に負担が掛かる。悪戦苦闘しながらやっと体の毛の半分ほどカットしたところで、突然、僕の腰に激痛が走った。その痛みは以前ギックリ腰になった時と同じ痛みだった。
「あっ…、やってしまった…」
土曜日の午後だったが直ぐに馴染みの整骨院に電話を掛けると、まだやっていると言うので、僕はQ次郎のカットを止め整骨院に急いで向かった。
「実はベランダで犬の毛をカットしていたら、急に腰に痛みが走って…」
「体が冷えたんでしょうね~。とりあえずベッドにうつ伏せになって下さい」
先生は僕の腰をゆっくり指で押しながら腰の辺りを確認していく。
「骨のズレは多少あるのでギックリ腰になる一歩手前ですね。アイシングして腰を冷やしましょう」
僕は30分ほど保冷剤で腰を冷やし、その後、腰をテープで固定され湿布を貼られた。
「1週間は安静にしとかないと、さらに酷くなって痛みは長引きますよ!」
「…」
自宅に戻り痛い腰に手を当てながら玄関のドアを開けると、Q次郎がリビングから駆け寄ってきて尻尾を振りながら僕に飛び付く。
「どこに行っとったと?早く遊ぼう!」
Q次郎はまるで僕にこう言っているようだ。僕はQ次郎にこう言った。
「お前がおとなしく毛を切らさんけん、腰を痛めたと。1週間は安静にしとかないかんけん、一時、遊ばれんと!」
Q 次郎は体の毛の半分をカットされ中途半端な状態だが僕はカットすることを断念した。
中途半端に毛をカットされ、小汚いQ次郎は毎日遊ぼうとせがんでくる。
「…」