近年、中国政府は経済成長を掲げ不動産業界に積極的に力を注いできたが、住宅価格が高騰したため国内の銀行に不動産業界への融資を抑えるように指示を出した。そしてその結果、多くの不動産開発企業は借り入れができなくなり資金繰りが悪化し、多くの建設現場で工事が途中で止まり住宅購入者に物件を引き渡すことができなくなっている。
先週、香港株式市場の急落をきっかけに世界同時株安が広がった。ことの発端は中国の大手不動産開発企業である『恒大集団』が社債の利払いができなかったことで、『恒大集団』の存続が危ぶまれている。
「恒大集団」は中国の地方政府から開発用地を仕入れ、マンションやリゾート地を開発し急成長を遂げ、今では事業の多角化も進み、食品やヘルスケア分野、電気自動車の開発、そしてプロサッカーチームも保有し、従業員は20万人を超える巨大企業だ。
しかし巨大企業に成長した「恒大集団」の負債は大きく総額は約33兆円にも上り、中国の国内総生産の2%に相当すると言う。もし「恒大集団」が破綻すれば、「恒大集団」から不動産を購入した消費者はもちろん、建設を請け負っている企業も破綻に追い込まれ、20万人の従業員も路頭に迷うことになる。
2008年の9月に起きたリーマンショックから今年で13年が経過し、世界の経済は時間を掛けて立ち直り株高が続いている。今月には日本も日経平均株価はバブル経済崩壊後の最高値を更新し3万円を超えた。しかし過去の歴史を振り返ると、「経済の振り子」は約10年で「成長」から「縮小」へと大きく振れ、今は「成長」の一番高い位置にあり、そろそろ「縮小」へと逆に振れる時期だ。
昨年から続く新型コロナウィルスによる影響で世界経済は疲弊しており、この時期に中国の巨大企業「恒大集団」が破綻すると、世界経済を揺るがす経済危機に発展するかもしれない。中国政府は巨大企業になりすぎた「恒大集団」を破綻させることはできず、救済することが考えられるが、国内全ての不動産開発企業は助けることはしないだろう。
もし世界を巻き込む大きな経済危機が起きれば千載一遇のチャンスと捉え、僕は思い切って投資を強化するつもりだ。