新型コロナウィルスの影響で経済は大きなダメージを受けているが、世界中で株価の上昇が続いている。各国の政府は新型コロナウィルスによる経済ダメージを抑えるため公的資金を注入し経済を下支えしており、そのことで市場には安心感が溢れ余裕資金が株式市場に流れ込んでいるようだ。
株価は1年先の経済を先取りすると言うが、現在の株高は果たして1年後の経済を見通しているのだろうか?株価と経済は本当に連動するのだろうか…。
新型コロナウィルスの影響で多くの方が在宅勤務により時間的に余裕が増え、また外出自粛により消費が減ったことで自由になるお金が多少増え、株式投資を始める人が増えているそうだ。そのため株価は押し上げられ証券会社は随分と業績が良いという。
「今、株を買えば必ず上がるよ」
「えっ、まだ株式投資してないの?」
「直ぐに証券会社に口座を作らなきゃ」
株式投資のリスクを理解せず、巷では今の株高に乗り遅れることへの不安が先行しており、バブル経済に沸いた平成初頭の頃によく似ている。当時は多くの人は株価が上がり過ぎているにもかかわらず株式投資を始め、多くの投資家が熱狂した。そして、ある日大きく膨れ上がったバブルは弾け多くの投資マネーは一瞬にして水泡に帰した。
「強気相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、陶酔の中で消えていく」アメリカの投資家ジョン・テンプルトンはこう言い、スコットランドの作家チャールズマッケイは「人間は集団で狂乱に陥るが、理性を取り戻すときは一人ずつゆっくりだ」と言った。そしてビートたけしは日本人を「赤信号みんなで渡れば怖くない」と例えてギャグを言った。
世界的な株高はいつまで続くか誰にもわからないが、株式投資を一切口にしたことのなかった人が突然株式投資の話をするようになり、街中で株式投資の話が日常会話になった頃、バブルは弾けるだろう。
来月3月11日で東日本大震災からちょうど10年になる。大津波が多くの人を飲み込み多くの犠牲者を出したが、今年はバブルが弾け多くの方の資産が大きな波に飲み込まれてしまう恐れがある。
2021年は熱狂することより冷静さが大切だ。