僕は大学に入学するとバイトと遊びに明け暮れ昼夜が逆転した生活を送った。大学3年生になると就職を考える時期になるが、僕は卒業後に起業しようと決めていたので、予行練習のために在学中に友人と商売を始めた。商売と言っても無店舗の中古車販売で、車の購入を考えている友人などから希望の車種を聞き、中古車のオークション会場で車を仕入れて販売していた。
オークション会場に入るには店舗を構え会場に入るための業者登録が必要だったが、僕等は無店舗販売だったので業者登録はできなかった。そこでオークション会場でバイトを始め、そこに出入りする中古車業者と仲良くなり、希望の車種と金額を伝えオークションで落札してもらった。今考えると商売と言うよりブローカーのようだった。
また地元の大学で配布されていた大学生向けのフリーペーパーで新車やドライブコースなどを紹介する連載のページを任せてもらい、毎月、原稿を書いた。しかも原稿料は貰えるし僕等の広告も無料で掲載してもらった。
大學4年生になり周りは就職活動を始めていたが、僕と友人は全く就職活動をしなかった。周りから卒業後の進路を訪ねられると、僕等は独立すると胸を張った。しかし大学4年の夏の終わりに一緒に独立するはずだった友人の親から彼の就職に対しての切実な想いが綴られた手紙をもらったことで、僕は友人に就職するように強く促した。友人は僕に背中を押され親のコネで直ぐに就職が決まった。
大学4年の冬、独立に拘っていた僕に友人は、一旦は就職し、社会勉強をした後に共に独立しようと説得された。彼は独立して成功するためには広告やマーケティングの知識が必要になるので、広告業界に就職するようアドバイスした。結局、僕は彼に説得により就職活動をすることに。きっと彼は自分だけが就職することに後ろめたい気持ちがあったのだろう。
卒業間近の1月、大学の就職課の職員から電話があり、卒業後の進路が決まってないのは君だけなので、今後の進路相談のため出校するように言われた。就職課に出向くと今年の就職活動は既に終わっているので、翌年の就職活動に参加するよう告げられたが、僕は今年就職する意思を伝えた。すると過去に卒業生が就職した就職先リストがあるので、希望先を探し連絡を取ってみると良いとアドバイスを受け、僕は福岡にある広告会社に片端から電話を掛けた。しかし今年卒業の採用は終わっており全ての会社から断られた。ただ1社、中途採用計画があると言うので、僕は熱くその試験を受けさせてほしいと伝えると、僕の熱意を感じた先方は試験を受けることを承諾してくれ僕は就職試験に挑んだ。そして僕は就職試験に合格し卒業する年に就職することができた。
就職した後、筆記テストはさっぱりだったが、面接で大逆転だったと配属された上司から聞かされた。卒業し就職したての頃は生活が昼夜逆転していたので、遅刻しないで出勤できるか毎日が不安だった。ちなみに僕は就職して何度も遅刻をしてしまった(笑)
「あれから30年!」
綾小路きみまろではないが、今では目覚ましを全くセットしなくても早朝から目が覚める年齢になってしまった。
written by 彦之丞