「暑さ寒さも彼岸まで」と言うが、9月の連休は随分涼しかったので、誰も住んでいない実家を整理することにした。実家は7LDKと随分広く物で溢れ返っており、その物量を見ただけで途方に暮れてしまう。それでも誰かがやらねばと、折れそうな心を奮い立たせた。
まずは台所から片付けることに。すると食器棚の中から親父が集めた徳利や猪口が山のように出てきた。僕の作業を傍で見ている手伝う気のないお袋に尋ねた。
「どうしてこげん徳利やら猪口があるとね―」
「お父さんは酒が好きやったろーが。出張やら旅行に行くたんびに、必ず徳利やら猪口ば買って来よったったい。あんたいらんね?」
「こげんいらんやろー。俺は日本酒は滅多に飲まんけん」
「じゃ―どうするね?」
「捨てるしかないやろ」
「もったいなかねー」
「なら後でリサイクルショップで売ってくるたい。しかし売れるとかいな…」
台所の片付けが終わり、次に親父が使っていたクローゼットを整理することに。クローゼットを開けると山のように親父の服があった。僕の作業を傍で見ている手伝う気のないお袋に尋ねた。
「何で仕事もとっくに辞めとるのにこげんスーツがあると?」
「ほら、お父さん、物ば捨てきらん性分やろうが、結婚してから洋服ば捨てたことないけん、60年間で買った服が入っとったい。あんた着らんね?」
「いらんばい。俺はスーツは着らんし、服は流行り廃りやらサイズがあるけんリサイクルショップや古着屋でも売れんやろーねー」
「じゃーどうするね?」
「捨てるしかないやろ」
「もったいなかねー」
「なら流行り廃りのないもんば、孫にやったらどうね?」
「そうやねー」
片付けの手伝いに来ていた甥っ子に流行り廃りのなさそうな服を半ば強引に薦め、甥っ子は渋々受け取る羽目に…。
これから実家の片付けはまだまだ続くが、寒くなる頃までには終わらせたい。
ちなみにリサイクルショップに持ち込んだ親父の徳利と猪口の数は250個ほどあり、査定をしてもらうと税込み価格で1,980円だった。お袋に換金したお金を渡すと喜んでいた。
written by 彦之丞