先週、朝の準備のため洗面台の左にある引き出しを開けようと少し屈んだ瞬間、腰にギクッとインパクトを感じた。僕は直ぐにぎっくり腰だと直感した。すると10分もしないうちに腰が痛くなり、靴下や靴を履くことすらできなくなり、自宅にあったコルセットを腰に巻き仕事に出掛けた。毎日の日課で通勤路沿いにある神社で手を合わせるのだが、この日は神社で一礼すらできない状態だった。出社後、お得意先と打ち合わせがあったので、腰を抑えながら妙な歩き方で出掛け、打ち合わせが終わると直ぐに馴染み整骨院に駆け込んだ。
「こんにち!今日は随分曇った顔をしていますね。どうしました?」
整骨院の先生は僕を見るなりこう言った。
「実は今朝、洗面台の引き出しを開けようと少し屈んだら、腰がずれたようで痛くて歩くこともままならないんです」
「あらら、それはぎっくり腰ですな!」
先生の指示で僕はベッドでうつ伏せになると、先生は僕の腰を触りながらこう言う。
「左の腰の骨がずれて腫れていますね。以前から少し悪かったところですね。きっと疲労がここに溜まって、少し屈んだことで引き金を引いたのでしょう。今から帰って安静にできないですか?」
「仕事がありますから、そりゃ無理です」
「そうですか。本当は安静が一番なのですが。それではずれた腰の骨を整えましょう。さぁ、リラックスして―」
先生はそう言い僕の腰を2度ゆっくりとひねった。
『ゴキッ!ゴキッ!』
その後、先生は腰にテーピングをし、湿布を張ってくれた。
「2、3日は通院した方がいいですよ!そして今日は風呂に入って温めることは絶対にNGです。もし酷い痛みがあったらアイシングをして下さい!」
仕事が終わり自宅に戻ると、愛犬Q次郎が大喜びで僕にまとわりついて来る。
「お前もダックスフンドで胴が長いけん、そげん激しく動きまわりよったら腰ば痛めてヘルニアになるぞ!お願いやけん、今日はそっとしておいて!」
そう言って、Q次郎を冷たくあしらった。
一週間ほどすると靴下を履けるまで腰は回復し、普段通り歩くことができるようになった。僕はぎっくり腰になったことで、腰が曲がり歩くことが随分遅くなった高齢のお袋の気持ちがよくわかった。年齢を重ねるとはこういうことなんだ…。
written by モンコ