親父は今年の5月に硬膜下血種の手術を受け順調に回復していたが、嚥下障害のため肺炎を繰り返したので入院が長引いている。入院中、親父はリハビリに真剣に取り組み、母の献身的な看護もあり体調も随分と落ち着いてきたので、いよいよ来週退院することになった。
退院後、弱った親父が広い家で生活することが難しいと判断し、家族で相談した結果、お袋と福岡市内のケアマンションに入居することになり、先週、そのケアマンションに荷物を運んだ。二人の住むケアマンションはワンルームで築年数も新しく、そこに新しく購入した電化製品が運び込まれると、まるで新婚生活が始まるように思える。
お袋は田舎から市内に引っ越すことや新しい環境での生活が楽しみのようだが、退院する親父はそのケアマンションを見ておらず、親父がそのケアマンションに住み始めると、住み慣れた家に戻ると、ごねるのではないかと気がかりだ。
またケアマンションから親父はリハビリを引き続き行うため毎日デイサービスに出掛けるのだが、親父がデイサービスに出掛けている昼間はお袋が一人になるので、何か趣味や楽しみを見つけないとボケてしまうのではないかとお袋のことも心配だ。
誰もがいつまでも元気に生活することを望んでいるが、自分が描いた老後にはならないようだ。介護に詳しい方から聞いた話だが、70歳が元気な老後を送るうえで大きなターニングポイントになるそうで、70歳までにそれ以降の生活を考え、早めに老後に備えることで元気に長生きできると言う。
70歳を超えてから老後の生活を考え始めても体力も判断力も急速に落ちていくので、生活環境を変えようと模索しても判断も決断もできないそうだ。そしてずるずるとそれまでの生活を続け、怪我や病気などのアクシデントに見舞われ急速に弱っていくそうだ。
安倍首相が70歳まで元気に働くことを前提に働き方改革に乗り出しているが、それが本当に正しいことなのだろうか?働く喜びは一旦、仕事を引退して自由になってみないと理解できないが、ターニングポイントである70歳まで働き、その後、余暇を楽しむことも無く老後に備えるなんて僕はまっぴらだ。
もうすぐケアマンションで親父とお袋の新婚生活が始まる。心機一転、二人でハネムーンに出掛けることができれば良いのだが。
written by マックス