先週はロケで北海道の旭川に出掛けた。この時期、旭川の日中の気温は20度を切るので涼しく秋を感じるが、早朝は10度を下回るので冬の訪れを感じた。遠くに見える大雪山は僕が旭川に到着した日に雪が降り山頂は雪化粧をしていた。
今回のロケはドローンで広大な花畑を撮影する。ロケ地で地元のドローン撮影のスタッフと合流した。
「ドローンは風速7メートルある日は飛ばせないんですよ。昨日は風があったのでドローンを飛ばせなかったでしょうね。今日は風も無く晴れているので良い具合に撮影できると思います。皆さん運が良いですね」
ドローンの撮影スタッフはそう話した。
早速、80センチほどのドローンを試験的に飛行させてもらった。勢いよく4つのプロペラが回転し砂埃を上げドローンはゆっくりと上空に上昇していく。
「ブ~ン」
まるで巨大なスズメバチが飛んできたかのような大きな音で、僕は少し頭を下げてしまった。ドローンの撮影は2人で行い、一人はドローンの移動をリモコンで操作し、もう一人はVRのアイマスクを顔に付けドローンの飛行指示を出し、ドローンの下に付いたカメラを上下左右にリモコンで動かし撮影する。
僕はドローンでの撮影が初めてだったので、興味津々に色々と質問をした。彼らの使っているドローンは高度150メートルまで上昇することができ、移動は4キロ先まで飛行することができるそうだ。しかしドローンに取り付けたバッテリーは15分しかもたないので、あまり遠くまで飛ばすと帰ってくることができず、途中で不時着してしまうそうだ。ドローンはスタッフが事前に設定したバッテリーの残量になると、その地点に自ら降りてくるようになっているそうで、バッテリーが無くなって突然墜落することはないそうだ。しかし辺鄙な場所に不時着すると探すことが大変で、特にイベント会場や海の上ではバッテリーの残量を気にしながら操縦すると言う。
「ちなみにそのドローンの値段はおいくらぐらいするんですか?」
「これは60万円くらいですね」
「へ~。墜落して壊れると大変ですね」
「そだね~」
どこかで聞いた返事だ。カーリングの女子選手たちが使っていたが、「そだね~」は北海道の方言なのだろうか。
撮影が終わり、ドローンのスタッフにひとつお願いをしてみた。
「すいません。そのVRのアイマスクを付けさせてもらえないですか?」
「いいですよ」
僕はVRのマスクを付けドローンを飛ばしてもらうと、飛行するドローンのカメラから映し出される映像が目の前に広がった。まるで大きなスズメバチになった気分だ。
いつも見ている風景も視点を変えると、見える景色は大きく変わる。きっと視点を変えると世界はもっとおもしろく楽しいのだろう。
written by SDB-1