昨年末に地元銀行の女性営業の方が事務所に飛び込んできた。
名刺を見ると所属部署はプライベートバンキング部と書かれてあったので、僕は非常に興味を持った。実は先日、僕は「プライベートバンカーは富裕層に何を教えているのか」という本を読んでおり、その中でプライベートバンカーは事業継承、節税、そして投資のエキスパートで、多くの知識を持ち顧客に対して金融のアドバイスをする「お金の番人」、「お金のコンシェルジュ」と書かれていた。
彼女と面談するとやはり事業継承、M&A、投資の3つを柱に営業活動を行っており、銀行の中では選りすぐりの部署だと言う。彼女の言う3つの中で僕は投資に興味を示し、僕の希望を伝え再度うちに来社することがあれば、僕に提案できる投資のポートフォリオを具体的に持って来てくれるように頼んだ。
数日後、彼女からアポイントの連絡があり再度面談することに。彼女は銀行内の多くの部署に相談し、グループ企業の証券会社などに僕のリクエストを伝えたが、取り扱っている商品に限りがあり、僕の目当てに叶う商品やサービスは無く、提案するポートフォリオを作ることができなかったと言う。
よくよく彼女の話を聞くと、今の銀行は日銀のマイナス金利政策で利益が上がらず、またフィンテック、AIなどの金融イノベーションが加速し経営は芳しくないそうで、非常に将来への危機感が強いそうだ。そうした環境の中、彼女の銀行は新たなサービスを行い新規顧客を取り込むため事業継承、M&A、投資を扱う専門部署を立ち上げたそうだ。
結局、彼女よりも僕の方が投資は勉強していると感じたので、僕の作ったポートフォリオを彼女に渡し、今の銀行を変えるくらいもっと勉強するように伝えた。
その後も、彼女は僕に保険や投資信託などを提案してきたが、全て僕に断られた。まさにけんもほろろ…彼女に同情した僕はこう言った。
「うちにあなたのお客さんを紹介するのであれば、融資を受けてあげようか?」
「今すぐにお客さんを紹介できるかわかりませんが、必ず頑張ります。どうぞよろしくお願いします」
彼女はそう言い喜んだ。僕は彼女の紹介など全く当てにしていない。この世に義理を大切にする人間なんて、そういない…。
所詮、プライベートバンキングという響きの良い部署であっても、ローカルの銀行にはサービス、情報、そして知識もメガバンクと比べ見劣りするのだろう。多くの人は勤めている会社名や、自分の肩書にプライドを持って生きているのだろうが、それに見合った中身を持ち合わせない人間が多いようだ。
written by ジェイク