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企業戦士
2016年12月02日

僕が社会人になり広告会社に入社したての頃、大手の新聞社に1年ほど預けられた時期がある。右も左も分からない僕を新聞社のTさんが面倒を見てくれた。彼は僕の面倒を見ることで自分の仕事が増えたと、たまにぼやいていたが、彼はメディアと広告の基本を僕に教えてくれた。当時の新聞社の広告部署は活況で彼は花形だった。

先日、久しぶりにTさんに会って話す機会があった。彼が新聞社に入社した頃は、「就職したい企業ベスト10」に必ず彼の勤める新聞社の社名があったそうだが、今ではネットなどの新興メディアの台頭により新聞購読者と広告は激減し、就職を希望者も減ったそうで、「就職したくない企業ランキング」に社名が出るようになったと、笑っていた。

彼は大企業で長く生きていると、何かあったら潰しがきかないと言う。大企業で働く人間は外部の企業と戦うことよりも、企業の内部で自らの評価や出世のために戦うことが多いそうだ。新聞社もまた外部の企業と戦うことが少なく実は虚弱体質だったのだろう。
ある時期からネットなど予想しなかった新興メディアが急速に台頭し、メディアを取り巻く環境は一変した。そして既存メディアは新興メディアによって一気に形勢が不利になってしまった。彼の話を聞きながら僕は新聞社のおかれた環境を頭の中で直ぐにSWOT分析をすることができた。
彼は僕の歩んできた道を知っており、やはり中小企業で戦い、荒波に揉まれた方が逞しく、しぶといと言いながら僕に感心していた。

僕は多くの素晴らしい人に出会い、多くの知恵と知識を教えてもらった。僕はその教えられたことを素直に実行してきた。僕に多くを教えてくれた人たちは常に戦場に身を置いている戦士たちで、彼らは戦うことが好きで、時間があるときはいつも武器を手入れし、作戦を立て訓練をしていた。そして戦場では必死に戦い勝負に勝つと、雄叫びを上げ景気よく酒盛りをする人たちだった。
僕はそんな彼らと馬が合った。

以前は大企業に就職すると一生安泰だったようだが、今は楽ではないようだ。

written by 彦之丞


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