What's NEW
ARCHIVE
一億総玉砕?
2016年09月09日

以前、勤めていた会社の先輩が久しぶりに事務所を訪ねてきた。彼は今も大手広告会社で働いているが、15年前に一緒に働いていた頃と見た目は随分変わり、まるで初老のおじさんのように見えた。
またその頃と比べると会話の内容も変わり、彼は親の介護のことや定年後の生活などを話した。

彼の務める会社の定年は64歳らしいが、その歳まで会社に残る者はいないそうだ。理由は60歳を過ぎると現在の自分の部下が上司になり立場が逆転するからだそうだ。
彼も60歳で退職すると言う。
「退職金がたんまり入るだろうから安泰なのでは?」
僕が尋ねると、彼は退職金の額は雀の涙ほどだと言う。
昔は退職金が数千万円などと良く耳にしたが、近頃の多くの企業では退職金は乏しいそうだ。
しかも年金も当てにならないので、彼は退職後、再就職先を探すと言う。

「会社やめたらお前のところで、俺どうかな~?」

と彼は冗談交じりに言う。

「筆記試験と面接があるので、それ次第でしょうね!」

僕がそう返すと彼は笑っていた。
そして近いうちに一杯やろうと彼はそう言って帰っていった。

最近、「1億総活躍」と安部首相は奇妙なスローガンを掲げ、改革に乗り出そうとしている。
ところで総務省の平成26年度の調査では、日本の総人口はおよそ1億3千万人弱で、65歳以上が3千万人強いる。
65歳以下の全ての人口がおよそ1億人ということになる。
逆に0歳児から22歳までの人口もおよそ3千万人弱なので、22歳以上の全ての人口もおよそ1億人となる。
さて、安部首相の掲げる「1億層活躍」とはどちらの1億人を指しているのだろうか?
生まれたばかりの赤ん坊から活躍しなければならない社会なのか、それとも寝たきりの老人までが活躍しなければならない社会なのだろうか?(笑)

先の大戦で日本軍が「1億総玉砕」とスローガンを高々と掲げていたことを、ふと思い出した。

written by マックス


What's NEW
ARCHIVE