久しぶりに幼馴染みの友人と酒を呑みに居酒屋へ。
彼とは40年の付き合いで、人生80年だとすれば人生の半分を付き合っていることになる。このような間柄で酒を酌み交わすと、気兼ねせずに大変楽で愉快だ。そして瞬間的に幼い頃にタイムスリップしてしまい、当時の話題で大笑いしてしまう。
当時は親から百円程度の小遣いをもらい学校が終わると、いつも駄菓子屋に走りお菓子を買い店の前でたむろしていた。今は仕事が終わると飲み屋に走り酒を呑んでいる。そう考えるとあの頃の習慣とあまり変わっていないように思える。
当時、「フラッシャー」という光るアクセサリーが付いている自転車が大流行していた。スーパーカーが流行したからなのか、自転車の荷台に車のテールランプのような点滅する光る装飾が施されており、フラッシャーのスイッチを入れると、複数のパターンの光りを放つ。またサドルの手前のフレームにはまるで車のシフトレバーのような変速機レバーまで付いていた。
僕の自転車にはフラッシャーなど付いておらず、親に再三せがんだが買ってくれなかった。
父は蝿を払うように僕にこう言った。
「フラッシャー?何かそれ?そんなもん直ぐに飽きる!」
彼とは家がすぐ近所だったので、夕方、遊んだあとの家路をよく一緒に自転車で走った。彼の自転車には最新のフラッシャーが付いていた。彼は「フラッシャー」のスイッチを入れ、フラッシャーをピカッピカッと光らせて走った。僕は内心いつも羨ましく思った。
彼の小学生の頃の夢はレーサーになることだったが、今のところ彼のその夢は叶っていない。しかし今でも彼は自動車やバイクが趣味で、車3台にバイク1台を保有し、更に今月もう1台バイクを買うそうだ。休みは車やバイクを弄り、また長期の休みはバイクでツーリングに出かけている。
今度懐かしのフラッシャー付き自転車を探して、彼にプレゼントしてあげようかな。
written by SDB-1