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父の教育
2014年04月04日

年のせいか父は随分穏やかになった。
私が子供の頃、父は随分と厳しかった。しかし厳しいのか、子供をいじめていたのか悩んでしまう記憶がある。

小学校3年生の新学期を迎えた春の頃だったか、いつものように家族で朝食を取っていた。食卓では僕の隣に父の席があった。
その日の朝食は昨日の夕飯のカレーライスの残りだった。学校に遅刻しないように大好きなカレーライスを僕は頬張るように食べていた。

3口ほどカレーライスを頬張った時、僕は突然父に頭を勢いよくどつかれた。僕はカレーライスの入った皿に顔から突っ込んだ。カレーライスからは湯気が上がっており、かなり熱かった。あまりの熱さに僕は「うわー」と叫びながら飛び上がった。一体何が起こったのか分からなかった。

「何てことするの!」僕の向かいに座っていた母が父に罵声を浴びせた。
その時、父はカレー塗れになった僕を見て笑いながらこう言った。
「男はどんな時も隙があったらいかん!バカたれが!!男は飯を食っている時も寝ている時も、いつ何時も隙があったらいかん!」
「何、バカなこと言いよると!」母が父に向かって更に罵声を浴びせ、僕にティッシュを渡してくれた。
「もう、何しよーと」僕は父にそう言いながら、カレーで汚れた顔をティッシュで拭いた。

春にカレーを食べると、この記憶が蘇る…あれも父の教育のひとつだったのだろうか…。
年齢も進み少し弱った父。あれ以来、いつか仕返しをしてやろうとチャンスを狙っている。

written by ダニエル


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