季節は穏やかな春なのに、世界の株式市場は大荒れだ。先週、ニューヨーク株式市場のダウ平均株価は2,231ドル急落し、一日の下落幅としては過去3番目の下げ幅で、今週は先週と一変、ダウ平均株価は2.962ドル急騰し過去最大の上げ幅を記録した。これは朝令暮改なトランプ政権による関税への言動によるもので、市場は動揺し大きく揺さぶられている。
ところで過去の大統領就任年の米国株式(NYダウ工業株平均)の騰落率を調べてみると、民主党の大統領が就任した年の平均は+9.0%に対し、共和党の大統領が就任した年の平均は-3.8%で民主党の大統領就任年の方が良い結果になっている。第二次世界大戦以降、民主党の大統領は8回就任しており、就任した年において株価が下落したのは1度だけだ。そして過去に起きたブラックマンデー、ITバブル、リーマンショックの株価暴落は共和党の大統領の就任期間に起きている。この二大政党の政治への取り組み方や政治スタンスはどう違うのだろうか?
民主党の起源は1800年以前にトーマス・ジェファーソンが立ち上げた政党で、トーマス・ジェファーソンはアメリカ独立宣言の起草者の1人で、第3代アメリカ大統領に就任している。民主党はリベラル寄りで、「大きな政府」という考え方を基本としている。「大きな政府」とは高福祉高負担の思想に基づいて政策を行う政府で、高水準の公的サービスを実現するために税などの国民負担が大きくなりやすいのが特徴だ。支援を必要とする人たちに対し社会福祉や生活保護を考えるのが政府の義務だというスタンスで、政府が経済活動に積極的に介入し、社会資本の整備と国民の生活を安定させ、所得格差などを是正する考えに基づいている。
逆に共和党は1854年に奴隷制度に反対する北部の運動の連合体として結党された歴史があり、党出身の初代大統領は「奴隷解放の父」とも呼ばれたエイブラハム・リンカーンだ。民主党は保守寄りで、「小さな政府」という考え方を基本としている。「小さな政府」とは低福祉低負担の思想に基づいて政策を行う政府で、税など国民の負担は少ないが公的サービスの水準も低いことが特徴だ。政府による経済活動への介入を減らし、市場原理による自由競争を促し、経済成長を図るという考えに基づいている。
民主党と共和党を比べると、弱者を守るか、それとも強者を優遇するかのように思えるが、過去の株式市場の数字からは民主党の大統領が好感されているようだ。共和党のトランプ政権はまだ始まったばかりで任期は4年近く残っている。株式市場はこれからも不透明だが、市場のパニックに一喜一憂せず気長に投資をするべきだろう。僕は乱高下しているマーケットを静かに傍観している。