いよいよドナルド・トランプがアメリカ大統領に就任した。首都ワシントンの連邦議会議事堂で行われた就任式の演説で「米国の黄金時代が今始まる」と表明したが、果たしてアメリカに黄金時代が訪れるのだろうか?世界がグローバルに繋がっている現代は、ひとつの国だけが豊かになることは難しく、世界規模で豊かさを追求し努力することが必要ではないだろうか。
ところで大手企業を中心に優秀な人材を獲得するため新入社員の初任給を引き上げる動きが相次ぎ、初任給が30万円を超える企業が出ている。深刻な人手不足により新卒採用は売り手市場で、大手企業による人材獲得競争が激しさを増している。
企業は付加価値に占める人件費の割合を示す労働分配率から判断し、基本的に給与の原資は一定で、初任給が上昇すれば既存社員の賃金を抑え帳尻を合わせることになる。そのため初任給が上昇した分、中堅社員やベテラン社員の賃金を据え置くか、もしくは昇給幅が減少することに。高度成長期のように企業業績が右肩上がりに伸びていれば、社員全体の給与も上昇するが、経済が成熟し衰退に向かっている現在では企業は高い業績は見込めず、給与の原資の伸び代は小さい。
企業は既存社員の給与額を減らすと社員からの反発が起きるので、多くの企業は人件費の総額を維持するため昇給率を減らし、昇給・昇格する人数を減らすなど気づかれないように既存社員の人件費を調整している。つまり企業が望む成果を出した社員は昇給するが、そうでない社員は昇給しにくい状況が続く。
高い初任給で入社した新入社員も1年後には既存社員になるので、成果を出し昇給対象者の枠に入っていないと、将来、給与は上昇しないだろう。逆に昇給しないことは成果を出せていないか、会社が期待する仕事ができていないということになる。
そこで昇給がないと自分自身の経験・スキルを認めてくれる企業に転職を考える。しかし転職先でも成果を上げて昇級対象者の枠に入ることができなければ結果は同じだ。
「アメリカ ファースト!」トランプ氏のお馴染みのフレーズだが、まずは目先の高い初任給に目が眩むことなく、「自分 ファースト」で基本を学び、自らの力で道を切り開くパワーとスキルを身に付け、人に信頼され愛される人間性を養わなければならない。そうしなければ将来、自分が望む昇給はないだろう。