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スキマ時間
2024年07月05日

梅雨は末期のようで大雨が続く中、時折雨が止むと、そのスキマに数匹の蝉が鳴いている。雄の蝉は自分の場所を雌に示しラブコールを送るために鳴く。地中の中で長い時間暮らし、成虫になり地上に出てくると雄は命を繋ぐため必死に鳴いて雌を誘う。めでたくカップルになり繁殖活動が終わると雄は命尽きてしまう。そのため梅雨が明ける前から雨の止んだスキマを利用して、気の早い雄は鳴いているのだろう。

ところで最近、テレビCMで見掛けるスキマバイトが人気のようで、多くの人がスキマ時間を利用し、スキマバイトのアプリ登録者は約2,200万人にものぼるそうだ。アプリには飲食店や小売店、物流業界など様々な業種が募集しており、中には1時間程度のバイトもあり空いた時間で働きやすいと人気になっている。応募者は履歴書や面接は不要で顔写真や身分証明書をスマホで撮影しアプリに登録するだけなので、手軽さもあり幅広い年代に人気だ。しかもアルバイトによっては、終了後直ぐにバイト代をもらえるケースもあるそうだ。スキマバイトが人気になった背景にはバイト後に給料が即支払われ、新型コロナウィルスの影響で収支が悪化した人にとっては魅力的で、人手不足の企業と働き手双方のニーズがマッチした形だ。

しかし中には問題点もあるようだ。まず都市と地方の間に求人数の格差があり、都市に比べて地方の求人は少ないという。また人気の仕事はすぐに応募枠が埋まり、募集後1分ほどで受付けが終了することもあり、希望する仕事につけないことも。そして応募した仕事で仕事内容や職場環境に満足できず、応募内容と極端に異なる仕事をさせられ休憩時間すらないことも。さらにアプリの応募者にはペナルティ制度が設けられ、勤務態度やバイト日のキャンセルや遅刻にペナルティが発生し、そのペナルティが貯まると応募できる数が制限され申込みができなくなる。そのため採用企業と応募者は同等ではなく採用企業の方が立場は上だ。

そもそもスキマバイトに違法性はないのだろうか。以前、派遣切りや雇い止めが社会問題になり、労働者保護のため労働者派遣法改正で30日以内の短期間の「日雇い派遣」は一部例外を除いて原則禁止されている。企業は社会保険の手続きが不要な範囲で、企業の都合で必要な時間だけ働かせることができ、今の時代の流れに逆行しているように思える。

スキマ時間があるのであれば目先のことに囚われず、将来の自分のために大切な時間を費やすべきではないだろうか?雨の切れ間に命を繋ぐため必死に鳴く蝉とは随分違うように思う。


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